女性のつむじはげとは?

「つむじはげ」とは、つむじを中心とした頭頂部の髪が全体的に薄くなる状態を指します。
男性は頭頂部だけでなく生え際の後退が顕著に見られる方も多いですが、女性は頭頂部を中心に徐々に髪密度が低下するのが特徴です。
女性のつむじはげのセルフチェック方法
- 鏡越しや写真でつむじ部分の地肌が目立つ
- 洗髪後に排水溝や枕元に抜け毛が増えていないか確認
- 分け目に光が当たると頭皮が透けて見える
つむじの変化に気づいたら、それは改善に向けた第一歩です。進行を抑えるためにも、早期に正しい対策を始めることをおすすめします。
女性に多いつむじはげの特徴
当院の臨床経験に基づくと、以下のような特徴が確認されています。
- 頭頂部のボリューム全体の減少
髪全体の密度が薄くなり、特定の箇所のみではなく広範囲に症状が現れます。 - ヘアサイクルの乱れによる髪質の変化
髪が細く、柔らかくなる軟毛化が進行しやすい傾向があります。 - つむじ周辺の毛流れが乱れる/頭皮の色や血行の変化
毛流れが分かりにくくなり、頭皮が赤みを帯びるケースもあります。 - 進行は比較的緩やかだが早めの対処が重要
しかし見落とすと思っているより進行するため、継続的なセルフケア・治療が必要です。
女性のつむじはげの主な原因とは?

当院で多くの女性患者様を診察する中で、原因は複合的であることも多いのですが、特に以下の4つが深く関係しています。
- ホルモンバランスの乱れ
- ストレスや睡眠不足
- 栄養不足や過度なダイエット
- 間違ったヘアケアと頭皮環境の悪化
詳しく解説します。
1.ホルモンバランスの乱れ
女性のつむじはげの代表的な原因が、女性男性型脱毛症(FAGA)です。これは、加齢やストレスにより女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモン(テストステロン)が優位になることで発症します。
つむじ周辺の髪が「いつの間にか細くなってボリュームが出にくい」と感じている方は、FAGAの初期症状かもしれません。放置すると進行しやすいため、医師の診断を受けて、適切な治療を始めることが大切です。
2.ストレスや睡眠不足
ストレスや睡眠不足は、自律神経の乱れや血流悪化を引き起こし、ヘアサイクルを乱す要因になります。特に夜更かしや慢性的な精神的ストレスは、髪の成長期が短縮し、抜け毛が増える傾向が強くなります。
3.栄養不足や過度なダイエット
髪はたんぱく質やミネラル、ビタミンなどを栄養源にするため、ダイエットなどで栄養バランスが崩れると髪の成長に支障が出ます。特に極端な糖質制限や食事量の激減は、体が髪の成長よりも生命維持を優先してしまうため、つむじの薄毛が顕著に現れます。
4.間違ったヘアケアと頭皮環境の悪化
強い洗浄力のシャンプーの使用や、過度なヘアカラー・パーマ、熱を使うスタイリングなどは頭皮にダメージを与え、バリア機能の低下や乾燥を招きます。これにより、髪の土台である頭皮環境が悪化し、育毛が阻害されやすくなります。
院長からのアドバイス
- 原因は単一ではないため、まずは生活習慣の見直しが大切です。
- まずは、自分の状況に当てはまる項目から対策を始めましょう。
- 気になる変化がある方は、早めに診察を受けてみてください。
年代別につむじはげが起きやすい理由と特徴
つむじはげは年齢によって引き起こす要因や症状の出方が異なります。ここでは、10代、20〜30代、更年期以降に分けてそれぞれの傾向を解説します。
10代女性のつむじはげ
10代でつむじの薄さを気にするケースは稀ですが、生活リズムの乱れやストレス、栄養不足が影響していることが多いです。特に受験期や部活動による疲労・睡眠不足はヘアサイクルに悪影響を及ぼすことがあります。
当院では、食事の見直しと生活習慣の改善を基本とし、必要に応じて育毛を補助する外用ケアをおすすめしています。
20〜30代女性の傾向とストレス要因
この年代では、生活環境の変化やホルモンバランスの乱れがつむじはげに影響を与えやすい時期です。
たとえば、就職・転職・結婚・出産といったライフイベントが重なり、ストレスや生活リズムの乱れが髪の成長サイクルに影響することがあります。
特に出産後は、一時的に抜け毛が増える「分娩後脱毛(産後脱毛)」が見られることが多く、その後も育児による睡眠不足や栄養バランスの乱れがつむじはげを悪化させる要因になりえます。
更年期以降のつむじはげの特徴
更年期に差し掛かると、急激な女性ホルモンの減少によりFAGAが進行しやすくなります。
進行が目立つ前の段階からケアを始めることで、症状の悪化を防ぎやすくなります。
女性のつむじはげの正しい対策と予防法
つむじはげの改善には、ご自宅でできるセルフケアから、医療機関での治療まで段階的なアプローチが効果的です。以下に2つの柱としてご紹介します。
自宅でできるセルフケアと育毛・発毛アイテムの活用
育毛剤と発毛剤の使い分け

育毛剤(医薬部外品)は主に頭皮環境を整え、抜け毛予防に効果的です。予防としては有効ですが、すでに進行している場合は効果が見込めないでしょう。
発毛剤としては、ミノキシジル外用薬が日本皮膚科学会で「強く勧められる治療」とされ、休止期毛包を成長期に戻すことで発毛を促進します。
頭皮ケアと生活習慣改善
- 頭皮マッサージは血流促進に有効で、つむじの育毛をサポートします。
- アミノ酸系シャンプー、正しい洗髪と頻度で頭皮を優しくケア。
- 紫外線対策として帽子や日傘も取り入れましょう。
- 栄養バランスの良い食事(タンパク質・鉄・亜鉛・ビタミン類)も毛髪の基盤作りに不可欠です。
クリニックでの専門治療と処方薬の選択肢
医師による診断と治療プラン
- ミノキシジル外用薬・内服薬:医師の診断下で使うことで、発毛効果と安全性を高めます。
- 内服薬(スピロノラクトン等):ホルモン調整を行いながら発毛を助ける目的で用いられます。
- 注入治療(メソセラピー等):毛髪成長因子を頭皮に直接届け、髪の再生を促進します。
継続とフォローアップの重要性
- 治療効果が現れるまでには3〜6ヶ月程度の継続使用が目安です。
- 当院では定期的な診察で進行状況を確認しながら、使用アイテムの適切な見直しや調整を行っています。
まとめ
つむじまわりの薄毛に気づいたとき、多くの方が「まだ大丈夫」「年齢のせい」と見過ごしがちです。しかし、早い段階で原因を見極め、適切なケアを始めることが改善への近道です。
つむじはげは、ホルモンバランスの変化、ストレス、栄養不足、間違ったヘアケアなど、さまざまな要因が関係しています。だからこそ、一人ひとりに合った対策が必要です。
ご自宅でのセルフケアから、発毛剤の使用、医師による専門的な治療まで、選択肢は多くあります。そして何より大切なのは、継続して向き合う姿勢です。髪の変化は数日で起こるものではありませんが、正しく対処すれば、回復の可能性は十分にあります。
当院では、患者様のライフスタイルや症状に合わせて無理のない治療計画を提案しています。つむじまわりの薄毛にお悩みの方は、どうか一人で抱え込まず、早めにご相談ください。