FAGAの重症度はどうやって判断するの?〜ルードヴィッヒ分類〜

そもそもFAGAとは

 

最近電車広告でも目にするようになった「FAGA」ですが、そもそもこれは一体どういう概念なのでしょうか。
FAGAとは「女性男性型脱毛症」の略語で、平たく言えば女性に特徴的な薄毛の疾患名になります。
女性なら誰でも発病する可能性のあるFAGAですが、実はFAGAは軽度から重度までさまざまです。
今回はFAGAの重症度判定についてお話ししていこうと思います。

 

FAGAの重症度はどうやって判断するの?

 

ルードヴィッヒ分類とは

実は、FAGAは重症度別に3つに分類することができます。
この分類するにはルードヴィッヒ分類(Ludwig分類、下記図)という薄毛の見た目の症状から進行度をⅠ型〜Ⅲ型で判定するものになります。

 

では、具体的にどのような症状が各分類に当てはまってくるのかを解説いたします。

 

軽症のFAGA(ルードヴィッヒ分類Ⅰ型)

軽度のFAGAは、頭頂部の髪の量が全体的に減少しているものの、パックリと分け目が開いてしまっているまでは進行していない状態です。髪が細くなったり、ボリュームが減ったりしていることに気づくかもしれません。よく見ると頭頂部の頭皮が透けて見えることもありますので、FAGAが始まっていないかどうかクリニックで診断してもらうのがいいでしょう。

 

中等症のFAGA(ルードヴィッヒ分類Ⅱ型)

中等度のFAGAでは、Ⅰ型と比べて髪の密度がさらに低下し、地肌が割と透けて見えることが特徴です。髪の分け目が広がったり、頭頂部が薄くなったりするなど、周囲の人にも薄毛と思われている可能性があります。体感ですが、薄毛が気になってクリニックに来院される方はルードヴィッヒⅡ型の人が一番多いです。

 

重症のFAGA(ルードヴィッヒ分類Ⅲ型)

重度のFAGAは、大部分の髪が薄くなり、広範囲で地肌が露出する状態です。頭頂部や前頭部だけでなく、側頭部や後頭部にも薄毛が広がり、地肌がはっきり見えるようになります。髪の量が大幅に減っているため、見た目にも大きく影響し、自信喪失や精神的なストレスに繋がることがあります。

 

FAGAの原因と対策

ホルモンバランスの変化

FAGAは主にホルモンバランスの変化によって引き起こされます。特に、女性ホルモンであるエストロゲンのバランスが崩れることが大きな要因となります。男性のAGAの場合、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンの代謝物が毛髪の成長を阻害する作用を持つため、AGAの原因となります。女性の場合、閉経後のエストロゲンの減少が大きな要因となります。エストロゲンは毛髪の成長を促進する働きがあるため、その減少によってFAGAが進行することがあります。

遺伝的要因

家族に薄毛の人がいる場合、その遺伝的要因がFAGAのリスクを高めることがあります。FAGAは遺伝的な要素が強く、両親や祖父母に薄毛の人がいる場合は、自分も薄毛になる可能性が高くなります。

ストレスと生活習慣

ストレスや不規則な生活習慣もFAGAを悪化させる要因です。ストレスは、ホルモンバランスを乱し、免疫力を低下させるため、毛髪の成長を阻害する可能性があります。また、睡眠不足や不規則な食事、喫煙、飲酒などの生活習慣も、FAGAの進行を促進する要因となります。十分な睡眠時間を取り、バランスの取れた食事を心がけ、ストレスを溜めないようにしましょう。

 

効果的な治療法

投薬治療

FAGAの治療には、ミノキシジルやスピロノラクトンなどの薬剤が有効です。ミノキシジルは、毛髪の成長を促進し、脱毛を抑制する効果があります。外用薬として頭皮に塗布します。これらの薬剤は、FAGAの進行を遅らせ、毛髪の成長を促進する効果が期待できますが、副作用が出る可能性もあります。医師の指示に従って服用することが重要です。

局所治療

メソセラピーなど、局所的な治療法もあります。メソセラピーは、頭皮に直接、毛髪成長を促進する成分を注入する治療法です。レーザー治療は、頭皮にレーザー光を照射することで、毛髪の成長を促進する効果があります。これらの治療法は、投薬治療と併用することで、より効果が期待できます。

生活習慣の改善

規則正しい生活とバランスの取れた食事が、FAGAの進行を遅らせる助けになります。十分な睡眠時間を取り、ストレスを溜めないようにしましょう。また、バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンやミネラルを摂取することも重要です。特に、亜鉛やビオチンは、毛髪の成長に重要な栄養素です。

 

重症度別の治療法

軽度のFAGA治療

軽度のFAGAには、外用薬や内服薬が推奨されます。外用薬には、ミノキシジルやカルプロニウムなどの成分が含まれており、毛髪の成長を促進する効果があります。内服薬には、ミノキシジルやスピロノラクトンの成分が含まれています。ミノキシジルは毛母細胞のATP産生を促し毛髪の成長を促進する効果があります。

▶︎ミノキシジルでのFAGA治療についてのコラムはこちらから

 

中等度のFAGA治療

中等度のFAGAには、内服外用の治療に加えてメソセラピー治療が効果的です。メソセラピーは、頭皮に直接、毛髪成長を促進する成分を注入する治療法です。これらの治療法は、内服外用治療と併用することで、より効果が期待できます。

 

重度のFAGA治療

重度のFAGAで毛根が死滅している領域に対しては、植毛手術が必要になります。植毛手術は、後頭部や側頭部から採取した毛根を、薄毛の部分に移植します。国内では男性のAGAに対しての植毛術はかなり盛んに行われていますが、女性に対する植毛術はほとんど行われていないと思います。

▶︎植毛についてのコラムはこちらから

 

なお当院ルートレディースAGAクリニックでは下記の図のように基本治療方針を定めています。ただ、患者様の体質や要望に応じて治療内容をカスタマイズする場合もあります。

 

 

FAGAの症状が気になる方へ

専門クリニックでの相談

FAGAの症状が気になる方は、薄毛治療専門のクリニックで相談することをおすすめします。専門の医師は、FAGAの原因や重症度を診断し、適切な治療法を提案してくれます。

 

治療を始めるタイミング

早期の治療開始が、効果的な結果を得る鍵です。FAGAは、初期段階では治療効果が高く、進行を遅らせることができます。症状に気づいたら、早めに専門医に相談し、治療を開始しましょう。

 

治療後のケア

治療後も定期的なケアとチェックが必要です。治療効果を維持するためには、医師の指示に従って、薬剤を服用したり、生活習慣を改善したりする必要があります。また、定期的にクリニックを受診し、毛髪の状態をチェックすることも重要です。

 

 

記事監修

「神奈川・湘南・鎌倉の女性薄毛(FAGA)はルートへ」

ルートレディースAGAクリニック

 

院長 清水弘太郎

プロフィール

略歴

三重大学 医学部医学科卒業
桑名市総合医療センター 初期臨床研修 修了
三重大学病院 さいたま市立病院 形成外科 勤務
大手AGAクリニックA 勤務
大手AGAクリニックB 勤務

専門医・所属学会

日本毛髪科学協会 毛髪診断士
厚生労働省 麻酔科標榜医
日本形成外科学会 正会員