秋の抜け毛は1日何本まで正常?抜け毛の目安と判断基準
まず重要なのは、抜け毛には「正常な抜け毛」と「注意が必要な抜け毛」があることを理解することです。
人間の髪の毛は常に生え変わりを繰り返しており、健康な状態でも一定数の髪が抜け落ちるのは自然な現象です。問題は、その量や質、抜け方のパターンにあります。
秋に抜け毛が増えるのは自然な現象
これは「換毛期」と呼ばれ、季節の変化に合わせて毛が生え変わる生理的なメカニズムの名残りと考えられています。人間の場合、動物ほど明確ではありませんが、同様の影響を受けることが知られています。
具体的には、毛髪には「成長期」「退行期」「休止期」という3つの段階があり、これを「ヘアサイクル」と呼びます。

秋には、夏の間に蓄積されたダメージの影響で、成長期から休止期に移行する髪が増える傾向があります。そのため、通常よりも多くの髪が抜け落ちることになるのです。
正常な抜け毛の本数と見分け方
正常な抜け毛の目安は、1日あたり50〜100本程度とされています。秋の時期には、この数が一時的に増加し、1日100〜200本程度まで増えることも珍しくありません。ただし、この数字はあくまで目安であり、個人差があることを理解しておくことが重要です。
抜け毛の本数をより正確に把握するには、以下の方法が有効です。
チェック場面 | 正常範囲の目安 | 注意が必要な場合 |
---|---|---|
シャンプー時 | 30〜80本程度 | 100本以上が継続 |
寝起きの枕 | 10〜30本程度 | 50本以上が毎日 |
ブラッシング時 | 10〜30本程度 | 50本以上が頻繁 |
重要なのは、抜け毛の「質」も確認することです。正常な抜け毛は毛根部分が白く丸みを帯びており、毛髪の長さも一定です。一方、毛根が細い、黒い、毛髪が短いなどの特徴がある場合は、何らかの異常が生じている可能性があります。
要注意な抜け毛の特徴
- 毛根の異常:毛根が細い、黒い、または毛根自体がない
- 毛髪の質の変化:以前より細く、短く、弱々しい髪が抜ける
- 局所的な薄毛:特定の部位(頭頂部、生え際など)の毛髪が集中的に減少
- 継続性:秋を過ぎても3ヶ月以上抜け毛が続く
- 急激な増加:1日200本以上の抜け毛が1週間以上続く
また、抜け毛と同時に以下の症状がある場合も注意が必要です。
併発症状のチェックポイント
- 頭皮のかゆみ、赤み、炎症
- フケの異常な増加
- 頭皮の痛みや違和感
- 髪のボリューム感の明らかな減少
- 家族歴(遺伝的要素)の影響
これらの症状が複数該当する場合や、ご自身での判断に迷いがある場合は、専門の医師による診断を受けることをおすすめします。

髪の悩みがどれほど心を重くし、日常生活にも影響を与えるものか、私たちは数多くの患者様を診てきた経験から深く理解しています。
抜け毛で相談してもいいの?などと遠慮せず、ぜひ医療機関を頼ってください。
なぜ秋になると抜け毛が増えるのか?4つの主要原因

秋の抜け毛増加は多くの方が経験する現象で、医学的な研究でも確認されています。ある調査では1年を通じて抜け毛を観察した結果、9月が最も多いことが判明しました。
この現象には4つの主要な原因があり、多くの場合これらが複合的に作用して抜け毛を引き起こします。
1.夏に受けた紫外線ダメージの影響
夏の紫外線は秋の抜け毛の最大の原因です。4月から9月にかけての紫外線量は、年間総量の70~80%を占めており、夏の紫外線量は冬の3~4倍にもなります。
紫外線の中でも特に波長の長いUV-Aは、髪表面のキューティクルを傷つけるだけでなく、頭皮の奥深くにある毛母細胞まで到達します。毛母細胞がダメージを受けると、髪の正常な成長サイクルが乱れ、髪が弱くなってしまいます。さらに、頭皮の日焼けは毛根部の新陳代謝を低下させ、健康な髪が育ちにくい環境を作り出します。
このような夏の間に蓄積されたダメージは、すぐに症状として現れるのではなく、髪の成長周期に合わせて数ヶ月後の秋に抜け毛として顕在化するのです。
2.気温と湿度の変化による頭皮環境の悪化
秋は気候変動が激しく、頭皮環境に大きな負担をかけます。夏から秋にかけて気温が下がり湿度が減少すると、髪と頭皮の両方に悪影響が生じます。
乾燥した環境では、髪の水分保持力が低下し、髪が硬くもろくなって切れやすくなります。同時に頭皮も乾燥し、フケやかゆみなどのトラブルが発生しやすくなり、健康な髪が育ちにくい状態になります。また、急激な気温変化は頭皮の血管を収縮させ、毛根への栄養供給を阻害します。
血行不良により毛母細胞に十分な栄養が届かなくなると、髪の成長が妨げられ、結果として抜け毛が増加してしまいます。
3.季節の変わり目のストレスと自律神経の乱れ
秋は身体にとってストレスの多い季節です。日中と朝晩の寒暖差が激しく、体温調節のために自律神経が常に働き続けることで疲労が蓄積します。自律神経の乱れは頭皮の血行不良を招き、髪への栄養供給を妨げます。
心理的なストレスも重要な要因です。秋は転勤や異動が多い時期で、新しい環境への適応や人間関係の変化がストレスとなります。ストレスはホルモンバランスを崩し、髪の成長に必要なホルモンの分泌を妨げることが知られています。
さらに、夏バテの後遺症として、食欲不振や睡眠不足が続くことも多く、これらの身体的ストレスが重なることで抜け毛が悪化する場合があります。
4.食生活の変化と栄養バランスの乱れ
季節の変わり目は食生活にも大きな変化をもたらし、これが髪の健康に直接影響します。夏の食欲不振により、髪の主成分であるケラチンの生成に必要なたんぱく質の摂取が不足することがあります。
また、暑さで冷たい食べ物や飲み物を多く摂取する夏の食習慣は、消化機能を低下させ、ビタミンやミネラルの吸収を妨げます。特に、髪の健康に重要な亜鉛、鉄分、ビタミンB群の不足は、直接的に抜け毛の増加につながります。
秋になると代謝も変化し、身体が必要とする栄養バランスも変わるため、適切な食事管理ができていないと、髪に必要な栄養が不足し続けることになります。
秋の抜け毛はいつまで続く?回復までの期間と見通し
秋の抜け毛は髪のダメージやストレスによる一時的なものであるため、通常は1〜2ヶ月程度で回復します。この期間中に、髪の毛の成長サイクル(ヘアサイクル)が正常化し、新しい健康な髪が成長を始めます。
抜け毛が多い時期でも、同時に新しい髪も生えているため、適切なケアを続けることで健康な髪の成長を促進できます。
注意すべき場合
抜け毛の増加が2ヶ月以上おさまらない場合、季節的要因以外の理由が考えられます。以下のような状況では、医師への相談を検討することが重要です。
- 3ヶ月以上抜け毛が続く場合
- 抜け毛の本数が1日200本を超える状態が続く場合
- 特定の部位(頭頂部、生え際など)が明らかに薄くなっている場合
- 頭皮にかゆみ、痛み、炎症などの症状が伴う場合
- 抜け毛以外の体調不良がある場合
抜け毛は栄養不足のほか、自己免疫疾患や貧血といった特定の病気が原因で起こることもあります。抜け毛が長期間続いて治まらない場合や、抜け毛以外の症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。
今日から始める!秋の抜け毛を改善する5つの対策方法

1.頭皮に優しいシャンプーと正しい洗髪方法
シャンプーは抜け毛対策の基本中の基本です。頭皮に余分な皮脂や汚れが残っていると、頭皮環境が悪化して抜け毛が増える場合があります。
毎日の洗髪方法を見直して、しっかりと皮脂や汚れを落としましょう。
正しいシャンプーの手順
- 予洗い:ぬるま湯のみで頭皮を丁寧に予洗いする(38〜40℃のぬるま湯で2〜3分間)
- 泡立て:シャンプーをよく泡立てて馴染ませ、頭皮全体をやさしく洗う
- すすぎ:ぬるま湯でシャンプーをよく洗い流す(洗う時間の2倍かけて念入りに)
シャンプー選びのポイント
頭皮の乾燥が気になるときは、アミノ酸系のシャンプーがおすすめです。アミノ酸系の成分は洗浄力が穏やかで、頭皮の潤いを守りながら汚れを落とします。
代表的なアミノ酸系成分として、ココイルグルタミン酸やラウロイルメチルアラニンなどがあります。これらの成分は髪や肌に必要な水分を残しつつ、汚れや余分な皮脂を落とします。
注意すべきポイント
- 爪を立てずに指の腹で優しくマッサージ
- 熱いお湯は頭皮の乾燥を促進するため避ける
- すすぎ残しは頭皮トラブルの原因となるため徹底的に
2.頭皮マッサージで血行促進
とくに夏は頭皮が血行不良を起こして栄養が届きにくくなったために、抜け毛が増えてしまうケースもあります。定期的に頭皮マッサージを行い、頭皮の血行を促進しましょう。
基本のマッサージ
- 指の使い方:指の腹を使い、爪を立てない
- 圧力:気持ちよいと感じる程度の適度な圧力
- 時間:1回につき3〜5分程度
- 頻度:1日2-3回(シャンプー時・朝・夜など)
マッサージの手順
- 首筋から頭頂部に向かって血流を促すように
- 円を描くような動きで頭皮全体をほぐす
- 側頭部から頭頂部へ向かって引き上げるように
- 最後に軽く全体を指圧して仕上げ
シャンプーをするついでにマッサージをすると習慣化しやすくなります。
3.乾燥対策と適切な保湿ケア
秋は空気が乾燥し始める時期で、頭皮の乾燥は抜け毛の大きな原因となります。抜け毛対策のポイントは、髪の土台である頭皮環境を整えること。おすすめは、頭皮専用の化粧水を使った「頭皮の保湿ケア」です。
シャンプー後のケア
- 早めにドライヤーで乾かす(髪を洗った後に濡れたまま放置すると、雑菌が湧いて頭皮環境が悪化する可能性がある)
- ドライヤーは20cm以上離して使用
- 根元から毛先に向かって風を当てる
保湿ケア用品の活用
- 頭皮用化粧水やローションの使用
- 洗い流さないトリートメントで毛髪の保護
- 加湿器を使用して室内湿度を50〜60%に保つ
生活環境の改善
- エアコンの風が直接頭に当たらないよう注意
- 室内の乾燥を防ぐため加湿器を活用
- 外出時は帽子や日傘で頭皮を保護
4.ストレス解消と生活習慣の見直し
特に季節の変わり目は自律神経が乱れやすく、適切なストレス管理が重要になります。
ストレス解消方法
- 深呼吸やヨガ、瞑想の実践
- 好きな音楽を聴く、読書する
- 温かいお風呂にゆっくり浸かる
- アロマテラピーの活用
など、ご自身の心身が整うものでOKです。
適度な運動
- ウォーキングやジョギング
- ストレッチやヨガ
- 階段を使う、一駅歩くなどの日常的な運動
- 運動により血行促進と気分転換を図る
睡眠の質の向上
- 毎日同じ時間に就寝・起床する
- 就寝前のスマートフォンやPC使用を控える
- 寝室の温度・湿度を適切に保つ
- 7〜8時間の十分な睡眠時間を確保
5.栄養バランスのとれた食生活
特に秋は夏バテの影響で栄養不足になりやすいため、意識的な栄養摂取が重要です。
髪に重要な栄養素と食材一覧
栄養素 | 働き | 主な食材 | 1日の目安量 |
---|---|---|---|
タンパク質 | 髪の主成分ケラチンの材料 | 卵、魚、大豆製品、鶏肉 | 体重1kg×1.2g |
亜鉛 | ケラチン合成をサポート | 牡蠣、レバー、ナッツ類 | 8〜10mg |
鉄分 | 毛根への酸素運搬 | レバー、ほうれん草、赤身肉 | 10.5〜11mg |
ビタミンB群 | 頭皮環境の改善・髪の成長促進 | 緑黄色野菜、ナッツ、果物 | 各種ビタミンによる |
大豆イソフラボン | ホルモンバランス調整 | 納豆、豆乳、味噌 | 30〜50mg |
食事の基本原則
- 1日3食をバランス良く摂取する
- 加工食品や糖分の過剰摂取を避ける
- 十分な水分摂取(1日1.5〜2リットル)を心がける
セルフケアで改善しない場合は専門の医師へ相談を
適切なセルフケアを2〜3ヶ月継続しても改善が見られない場合は、医師への相談を検討しましょう。季節性の抜け毛と病的な脱毛症を正しく見分けることで、適切な治療につなげることができます。
注意が必要な脱毛症の特徴
- 3ヶ月以上継続して抜け毛が続く
- 特定の部位(頭頂部、分け目など)に集中
- 毛根が小さく萎縮している
- 短く細い髪が多数抜ける
専門的な診断で分かること
専門の医師による診断では、問診・視診・検査を通じて抜け毛の根本原因を特定します。
- 毛髪検査:毛根の状態、毛周期の異常を詳細に観察
- 頭皮検査:頭皮環境、炎症の有無、毛穴の状態を確認

「正常な抜け毛かわからない…」「予防の観点で相談しておきたい」そんな方も、お気軽にご相談ください。
まとめ
秋の抜け毛は自然な現象ですが、適切なケアで最小限に抑えられます。
今すぐできること
- 正しいシャンプー方法を実践
- 栄養バランスの良い食事
- 十分な睡眠とストレス管理
医師に相談すべき症状
- 3ヶ月以上改善しない抜け毛
- 明らかに量が多い抜け毛
- 特定部位だけ薄くなる
ルートレディースAGAクリニックでは、女性の髪の悩みに特化した専門的な診断と治療を行っています。一人ひとりの症状や生活環境に合わせた個別の治療プランを提案し、内服薬治療から先進的な毛髪再生治療まで、幅広い選択肢の中から最適な治療法を選択いただけます。

秋の抜け毛が気になる方、毎年繰り返す抜け毛でお悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひお気軽にご相談ください。早期の適切な対処により、健やかな髪を取り戻すお手伝いをいたします。