「薄毛は母方の祖父から遺伝する」という話、聞いたことありませんか?実はこれ、半分正解で半分誤解なんです。女性の薄毛と遺伝の真実を、医師が詳しく解説します。
女性の薄毛は遺伝するのか?基礎知識
女性の薄毛に遺伝が関わっているのは事実ですが、その影響の度合いや仕組みについては正しく理解しておく必要があります。ここでは、薄毛と遺伝の基礎知識について解説します。
薄毛に関わる遺伝子とは
薄毛に関係する遺伝子は複数存在しますが、特に重要なのが「アンドロゲンレセプター遺伝子」と「5αリダクターゼ遺伝子」です。
アンドロゲンレセプター遺伝子は、男性ホルモン(アンドロゲン)を受け取る受容体を作る設計図のようなもので、この遺伝子の感受性が高いと、薄毛になりやすいとされています。
5αリダクターゼ遺伝子は、男性ホルモンのテストステロンを、より強力なDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する酵素を作ります。このDHTが毛根に作用することで、髪の成長サイクルが短縮され、薄毛が進行します。
これらの遺伝子の組み合わせや活性度によって、薄毛のなりやすさが決まってきます。
女性の薄毛における遺伝の影響度
女性の薄毛において、遺伝がどの程度影響するかを正確な数値で示すことは現時点では困難です。
その理由は、女性の薄毛が単一の遺伝子で決まるものではなく、複数の遺伝子が複雑に関与する「多因子遺伝」であるためです。さらに、ホルモンバランス、加齢、生活習慣、ストレス、栄養状態など、遺伝以外の環境要因も大きく関わっており、それぞれの影響度を明確に分離して測定することが非常に難しいのが実情です。
ただし、臨床現場では家族歴(特に母方の家系)に薄毛の方がいる場合、薄毛になりやすい傾向が見られることは確かです。
重要なのは、遺伝的な素因があっても、必ず薄毛になるわけではないということです。適切な生活習慣や早期の対策により、薄毛の発症を遅らせたり、進行を抑えたりすることが可能です。
遺伝子検査で薄毛リスクはわかる?
現在、遺伝子検査により薄毛のリスクを予測することが可能です。遺伝子の特徴や変異を調べることで、将来的な薄毛のリスクを推測できます。
検査方法は簡単で、口腔内の粘膜を綿棒で採取するだけです。結果は数週間で判明し、薄毛になりやすい体質かどうかがわかります。
ただし、遺伝子検査で「リスクが高い」と判定されても、必ず薄毛になるわけではありません。大切なのは、適切な対策を始めるきっかけになるという点です。
「母方からの遺伝」は本当?科学的メカニズムを解説
「薄毛は母方の祖父から遺伝する」という話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。この説には科学的な根拠があるのか、遺伝の仕組みを詳しく解説します。
X染色体と薄毛の関係
薄毛に関わる重要な遺伝子の一つである「アンドロゲンレセプター遺伝子」は、X染色体上に存在しています。
人間の性染色体は、女性がXX、男性がXYという組み合わせを持っています。女性は父親と母親からそれぞれX染色体を1本ずつ受け継ぎ、合計2本のX染色体を持ちます。

つまり、女性は母親からも父親からもX染色体を受け継ぐため、両方の家系から薄毛に関わる遺伝子を受け継ぐ可能性があります。
ただし、X染色体上に薄毛関連の遺伝子が存在することは確かですが、それだけで薄毛が決まるわけではありません。他にも複数の遺伝子が関与しており、その全容は完全には解明されていません。
アンドロゲンレセプター遺伝子の働き
アンドロゲンレセプター遺伝子は、男性ホルモン(アンドロゲン)を受け取る受容体を作る設計図のような役割を持っています。
この受容体の感受性が高いと、男性ホルモンの影響を受けやすくなり、髪の成長サイクルが短縮され、髪が細く短くなったり、抜け毛が増えたりする原因となります。
女性の場合、男性ホルモンの分泌量は少ないものの、更年期以降に女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、相対的に男性ホルモンの影響が強くなり、薄毛が進行しやすくなります。
アンドロゲンレセプター遺伝子の感受性には個人差があり、この感受性の高さが遺伝的に受け継がれることで、薄毛になりやすい体質が引き継がれると考えられています。
なぜ「母方の祖父」が注目されるのか
「薄毛は母方の祖父から遺伝する」という説がよく言われる理由は、男性の薄毛遺伝に関する研究に基づいています。
男性の場合、X染色体は母親からのみ受け継ぎます。そのため、男性にとってのX染色体上の遺伝子は、母方の家系(母親、母方の祖父など)から来ることになります。この仕組みから、「母方の祖父が薄毛だと、孫の男性も薄毛になりやすい」という説が生まれました。
しかし、女性の場合は父親と母親の両方からX染色体を受け継ぐため、男性ほど単純に「母方から」とは言えません。また、薄毛に関わる遺伝子はX染色体上のものだけでなく、常染色体(性染色体以外の染色体)にも存在することがわかっています。
つまり、女性の薄毛の遺伝パターンは男性よりも複雑で、母方だけでなく父方の家系からも影響を受ける可能性があります。
結論として、「母方の祖父が薄毛だから自分も必ず薄毛になる」というわけではなく、両親の家系を含めた総合的な遺伝的背景が関係していると理解するのが正確です。
遺伝による薄毛の特徴と見分け方
遺伝的な要因による薄毛には、特有の症状や進行パターンがあります。ここでは、遺伝による薄毛の特徴と、自分の薄毛が遺伝によるものかを判断する方法について解説します。
FAGA(女性男性型脱毛症)の症状

遺伝が関与する代表的な薄毛として、FAGA(Female Androgenetic Alopecia:女性男性型脱毛症)があります。
FAGAは、男性ホルモンの影響を受けて発症する進行性の脱毛症で、以下のような特徴があります。
| 症状の特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 薄毛の部位 | 頭頂部から前頭部にかけて全体的に薄くなる |
| 進行パターン | 徐々に髪が細く短くなり、ボリュームが減少する |
| 生え際の変化 | 男性のように生え際のみが後退することは少ない |
FAGAの最大の特徴は、髪全体が均一に薄くなる「びまん性」の脱毛パターンです。特に分け目や頭頂部の地肌が透けて見えるようになり、髪のボリュームが全体的に減少します。
遺伝性薄毛のパターンと進行の仕方
遺伝による薄毛は、急激に進行するのではなく、数年から十数年かけてゆっくりと進行するのが特徴です。
多くの場合、以下のような経過をたどります。
初期段階
髪が以前より細くなり、ハリやコシが失われる。シャンプー時の抜け毛がやや増える。
中期段階
分け目が広がり、地肌が透けて見えるようになる。髪全体のボリュームが明らかに減少する。
後期段階
頭頂部を中心に薄毛が目立つようになる。ヘアスタイルでカバーすることが難しくなる。
女性の場合、更年期(45〜55歳頃)以降に症状が顕著になるケースが多く見られます。これは、女性ホルモンの減少により、相対的に男性ホルモンの影響が強くなるためです。
ただし、30代や40代の比較的若い年齢で発症する方もいらっしゃいます。
自分の薄毛が遺伝かチェックする方法
自分の薄毛が遺伝的な要因によるものか、以下のチェックリストで確認してみましょう。
家族歴のチェック
- 母親や姉妹に薄毛の人がいる
- 母方の祖父母に薄毛の人がいる
- 父親や父方の祖父母に薄毛の人がいる
薄毛のパターン
- 頭頂部から全体的に薄くなっている
- 髪が細く、柔らかくなった
- 分け目が以前より広がった
進行の仕方
- 数年かけてゆっくりと薄毛が進行している
- 特定の部分だけでなく、全体的に薄くなっている
- 急激な抜け毛ではなく、徐々にボリュームが減少している
発症の時期
- 更年期以降に薄毛が目立ち始めた
- 出産後に薄毛になり、その後も改善していない
これらの項目に当てはまるものが多いほど、遺伝的な要因が関与している可能性を考慮する必要があります。
ただし、これらのチェック項目はあくまで目安であり、正確な診断には医師による診察が必要です。薄毛の原因は遺伝以外にも、甲状腺疾患や鉄欠乏性貧血、膠原病などの病気が隠れている場合もあります。
気になる症状がある場合は、早めに専門のクリニックでご相談ください。
遺伝以外の女性の薄毛の原因
女性の薄毛は遺伝だけでなく、さまざまな要因が複合的に関わって発症します。ここでは、遺伝以外の主な原因について解説します。
ホルモンバランスの変化
女性の薄毛に大きく影響するのが、女性ホルモン(エストロゲン)の変動です。
エストロゲンには、髪の成長を促進し、髪の成長期を長く保つ働きがあります。しかし、以下のようなタイミングでホルモンバランスが変化すると、薄毛が起こりやすくなります。
| タイミング | 影響 |
|---|---|
| 出産後 | 妊娠中に増加していたエストロゲンが急激に減少し、一時的に抜け毛が増える(産後脱毛症) |
| 更年期・閉経後 | エストロゲンの分泌が減少し、相対的に男性ホルモンの影響が強くなる |
| ピルの服用中止 | 人工的なホルモンバランスの変化による影響 |
| 生理不順・無月経 | ホルモン分泌のリズムが乱れ、髪の成長に影響する |
加齢による毛根機能の低下
年齢を重ねるにつれて、毛根にある毛母細胞の働きが徐々に衰えていきます。
毛母細胞は髪を作り出す細胞ですが、加齢により細胞分裂の回数が減少し、新しい髪を生み出す力が弱まります。その結果、以下のような変化が現れます。
- 髪が細く、弱々しくなる
- 髪の成長スピードが遅くなる
- 髪の密度が減少する
- 白髪が増える
これは自然な老化現象の一つですが、適切なケアや治療により、進行を緩やかにすることは可能です。
生活習慣やストレスの影響
日常生活の中にも、薄毛を引き起こす要因が潜んでいます。
ストレスの影響
慢性的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、頭皮の血流を悪化させます。血流が悪くなると、毛根に必要な栄養や酸素が十分に届かなくなり、髪の成長が妨げられます。
また、強いストレスは円形脱毛症の原因にもなります。
睡眠不足
髪の成長に必要な成長ホルモンは、睡眠中に最も多く分泌されます。睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長が妨げられます。
喫煙・過度な飲酒
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、頭皮の血流を悪化させます。また、過度な飲酒は肝臓に負担をかけ、髪の成長に必要なタンパク質の合成を妨げます。
栄養不足や過度なダイエット
髪の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。栄養が不足すると、健康な髪を作る材料が足りなくなります。
特に以下の栄養素が不足すると、薄毛のリスクが高まります。
| 栄養素 | 役割 | 多く含まれる食品 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の主成分ケラチンの材料 | 肉、魚、卵、大豆製品 |
| 鉄分 | 毛母細胞に酸素を供給 | レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき |
| 亜鉛 | 髪の成長と修復に関与 | 牡蠣、ナッツ、レバー |
| ビタミンB群 | 細胞の代謝を促進 | レバー、卵、全粒穀物、緑黄色野菜 |
特に女性は月経により鉄分が不足しやすく、鉄欠乏性貧血が薄毛の原因となることがあります。
また、急激なダイエットや極端な食事制限は、栄養バランスが崩れやすく、薄毛を招く大きな要因となります。
誤ったヘアケアによる頭皮ダメージ
日々のヘアケア方法が、知らず知らずのうちに頭皮や髪にダメージを与えていることがあります。
【頭皮にダメージを与えるヘアケア】
| 習慣 | 頭皮や髪への影響 |
|---|---|
| 洗浄力が強すぎるシャンプー | 頭皮の乾燥や炎症を引き起こす |
| シャンプーのすすぎ不足 | 毛穴の詰まりが起こり、髪の成長を妨げる |
| 熱いお湯での洗髪 | 頭皮の乾燥を招き、バリア機能が低下する |
| ドライヤーの熱風を長時間当てる | 髪と頭皮がダメージを受ける |
| 頻繁なカラーリングやパーマ | 化学物質が頭皮にダメージを与え、毛根が弱る |
| 髪を強く結ぶ・きつく縛る | 長期間髪が引っ張られることで、牽引性脱毛症を引き起こす |
| 紫外線対策をしていない | 紫外線が頭皮の老化を促進し、薄毛を加速させる |
特にポニーテールやお団子ヘアなど、同じ箇所を常に引っ張るヘアスタイルを続けると、生え際や分け目の髪が抜けやすくなります(牽引性脱毛症)。
適切なヘアケアを心がけることで、頭皮環境を整え、薄毛のリスクを減らすことができます。
遺伝による薄毛は予防できる?今からできる対策
遺伝的な素因があっても、適切な対策を講じることで、薄毛の発症を遅らせたり、進行を抑えたりすることは可能です。ここでは、今日から始められる具体的な予防法を解説します。
生活習慣の見直しポイント
日々の生活習慣を見直すことで、薄毛の進行を遅らせることができます。
睡眠の質を改善する
髪の成長に必要な成長ホルモンは、深い睡眠中に最も多く分泌されます。以下のポイントを意識しましょう。
- 寝室の環境を整える(適度な温度・湿度、暗さ)
- 7〜8時間の睡眠時間を確保する
- 就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控える
- 就寝・起床時刻をできるだけ一定にする
ストレスケア
慢性的なストレスは、頭皮の血流を悪化させ、薄毛を進行させます。
- 適度な運動を取り入れる(ウォーキング、ヨガなど)
- 趣味の時間を持つ
- 深呼吸や瞑想でリラックスする時間を作る
- 信頼できる人に悩みを相談する
禁煙・節酒
タバコは頭皮の血流を悪化させ、過度な飲酒は髪の成長に必要な栄養の吸収を妨げます。可能であれば禁煙し、飲酒は適量にとどめましょう。
頭皮環境を整えるヘアケア方法
健康な髪を育てるには、頭皮環境を整えることが不可欠です。
正しいシャンプー方法
- ぬるま湯(38℃程度)で予洗いをする:お湯だけで皮脂汚れの約80%は落ちます
- シャンプーを手のひらで泡立ててから頭皮につける
- 指の腹を使って優しくマッサージするように洗う:爪を立てない
- 十分にすすぐ:シャンプー成分を頭皮に残さない
- タオルドライは優しく押さえるように:ゴシゴシこすらない
- ドライヤーは頭皮から15cm以上離し、熱を一点に当てない
適切なシャンプー選び
洗浄力が強すぎるシャンプーは、必要な皮脂まで洗い流してしまい、頭皮環境を悪化させます。アミノ酸系の優しい洗浄成分を使用したシャンプーがおすすめです。
頭皮マッサージ
頭皮マッサージは血行を促進し、毛根に栄養を届けやすくします。
- 指の腹を使い、頭皮全体を優しく揉みほぐす(1回3〜5分)
- 前頭部から後頭部に向かって、円を描くようにマッサージ
- 側頭部や耳の後ろも丁寧にほぐす
シャンプー時や入浴後に習慣化すると効果的です。
紫外線対策
紫外線は頭皮の老化を促進し、薄毛を加速させます。外出時は帽子や日傘を活用し、頭皮用の日焼け止めスプレーの使用も検討しましょう。
ヘアスタイルの工夫
同じ場所を常に引っ張るヘアスタイル(ポニーテール、お団子ヘアなど)は避け、分け目を定期的に変えることで、特定の部位への負担を減らせます。
栄養バランスを意識した食生活
髪の健康には、バランスの取れた食事が欠かせません。
【積極的に摂りたい栄養素】
| 栄養素 | 役割 | 多く含まれる食品 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の主成分ケラチンの材料 | 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品 |
| 鉄分 | 毛母細胞に酸素を供給 | レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき |
| 亜鉛 | 髪の成長と修復に関与 | 牡蠣、ナッツ、レバー |
| ビタミンB群 | 細胞の代謝を促進 | レバー、卵、全粒穀物、緑黄色野菜 |
| ビタミンE | 血行促進・抗酸化作用 | アボカド、ナッツ、植物油 |
| 大豆イソフラボン | 女性ホルモンのバランス調整 | 納豆、豆乳、味噌 |
食生活の改善ポイント
- 1日3食、規則正しく食べる
- 糖質や脂質の摂りすぎを避ける(過剰摂取は皮脂分泌を増やし、頭皮環境を悪化させる)
- 極端なダイエットは控える(栄養不足により髪が痩せ細る原因になる)
- 水分を十分に摂る(血液循環を良くし、栄養を毛根に届けやすくする)
特に女性は月経により鉄分が不足しやすいため、意識的に鉄分を含む食品を摂取することをおすすめします。
遺伝性の薄毛に効果的な治療法
遺伝による薄毛に対しては、医療機関での専門的な治療が効果的です。ここでは、当院で行っている主な治療法について解説します。
※これらの治療はすべて自由診療となり、保険適用外です。
※授乳中には服用できない薬剤もありますので、診察時に必ず申告ください。
内服薬による治療(パントガール・ミノキシジルなど)
内服薬は、体の内側から薄毛を改善する方法として第一選択となります。女性の薄毛治療では、主に以下の薬が処方されます。

これらの内服薬は、効果が現れるまでに3〜6ヶ月程度かかることが一般的です。継続的な服用が重要であり、自己判断で中止すると効果が失われる可能性があります。
外用薬による治療(ミノキシジル)
ミノキシジル配合の外用薬は、頭皮に直接塗布することで毛包に作用する治療薬です。

ミノキシジルは、日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドライン(2017年版)において、女性型脱毛症(FAGA)の治療として推奨度A(行うよう勧められる)に位置づけられています。ガイドラインでも有効性が認められており、女性にとって有力な治療法と言えます。
男性の薄毛治療にも使用されますが、濃度が異なるため女性向け製品を使用する必要があります。
参照元:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
注入治療(メソセラピー・HARG療法)
薄毛の進行が気になる場合や、内服薬・外用薬だけでは改善が難しいケース、発毛スピードを上げたい場合には、頭皮に直接有効成分を注入する治療法も効果的です。

メソセラピーはミノキシジルを主成分としているクリニックが多いですが、クリニックによって独自に配合を決めていることも多くあります。
一方、HARG療法は「日本医療毛髪再生研究会」が認定しているクリニックでしか受けることができず、成分は成長因子というタンパク質をメインとした製剤です。
どちらも注射器で手打ちするか、メソガンなどの電動の医療機器で注入します。効果を実感するには、通常6〜12回程度の治療が必要です。
まとめ
最後に、重要なポイントをまとめます。
- 女性の薄毛には遺伝的要因が関与しているが、遺伝だけで薄毛が決まるわけではない
- 「母方からの遺伝」には科学的根拠があるが、女性は両親の家系から影響を受ける
- 遺伝以外にも、ホルモンバランス、加齢、生活習慣、栄養不足など複数の要因が関わる
- 遺伝的素因があっても、早期治療と適切な対策で改善・予防が可能
- 内服薬・外用薬・注入治療など、効果的な治療法が確立されている
家族に薄毛の方がいる場合でも、諦める必要はありません。遺伝的なリスクを正しく理解し、早めに対策を始めることで、将来の髪を守ることができます。
抜け毛の増加、髪が細くなる、分け目が広がるなどの変化に気づいたら、早めに専門医にご相談ください。当院では、患者様一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた最適な治療プランをご提案しています。
【国内未承認治療に関する情報提供】
一部の薄毛治療は、日本国内では未承認ですが、自由診療として受けていただくことが可能です。
1. 本治療は国内未承認です 「ミノキシジル内服薬」「メソセラピー」「HARG療法」「スピロノラクトン」「パントガール」は、日本国内において医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく承認を受けていません。
2. 入手経路について 当院では、海外の医薬品販売業者やメーカーから、正規の流通ルートを通じて医薬品・治療材料を輸入し、適切な管理のもとで患者様に提供しています。
3. 国内の同等の承認治療の有無
- ミノキシジル内服薬:日本国内では、ミノキシジル外用薬(リアップ®など)が承認されていますが、内服薬は未承認です。
- メソセラピー・HARG療法:日本国内で承認された同等の治療法は存在しません。
- スピロノラクトン:日本国内では「抗高血圧薬」「利尿薬」として承認されていますが、薄毛治療目的での使用は未承認です。
- パントガール:日本国内では承認されておらず、同等の承認治療薬もありません。
4. 安全性・有効性の評価状況 本治療は、日本国内での安全性・有効性が確立されておらず、公的な評価を受けておりません。そのため、副作用やリスクについて十分にご理解いただいた上で、治療を受けていただく必要があります。
5. 諸外国での使用状況
- ミノキシジル内服薬:米国、欧州などの一部の国では、医師の処方により使用されています。
- メソセラピー・HARG療法:一部の国において美容医療・薄毛治療の分野で施術が行われています。
- スピロノラクトン:米国などでは、女性の薄毛治療に対して医師の処方により使用されることがあります。
- パントガール:ドイツをはじめとする一部の国で「女性の薄毛(びまん性脱毛症)のためのサプリメント」として販売されています。
6. 医薬品副作用被害救済制度
日本国内において未承認の医薬品・治療法は、厚生労働省の「医薬品副作用被害救済制度」の対象とはなりません。
⚠ 注意事項
- 本治療は自由診療(自費診療)であり、健康保険の適用はありません。
- 効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。



