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女性のミノキシジル内服は危険?発毛効果と安全な使い方

女性の薄毛治療にミノキシジル内服は危険?医師が解説

執筆者

清水弘太郎

院長

清水弘太郎

「神奈川・湘南・鎌倉・藤沢・横浜の女性薄毛(FAGA)はルートへ」

略歴

三重大学 医学部医学科卒業
桑名市総合医療センター 初期臨床研修 修了
三重大学病院 さいたま市立病院 形成外科 勤務
大手AGAクリニックA 勤務
大手AGAクリニックB 勤務

専門医・所属学会

日本毛髪科学協会 毛髪診断士
厚生労働省 麻酔科標榜医
日本形成外科学会 正会員

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ミノキシジル内服薬とは?

ミノキシジルはもともと高血圧治療薬として開発された薬剤で、血管拡張作用により血流を改善する効果があります。治療中の患者に多毛の副作用が見られたことから、薄毛治療への応用が始まりました。

現在、女性の薄毛治療では外用薬が第一選択とされていますが、内服薬も医師の判断により処方されることがあります。ただし、内服薬は日本では薄毛治療薬として正式に承認されていないため、医師の診察のもと、その使用には慎重な検討が必要です。

ミノキシジルの作用メカニズム

ミノキシジルの主な効果・作用メカニズムは主に6つです。

  1. 血管拡張
  2. 毛の成長期の延長
  3. 毛包の成長を刺激
  4. 成長因子の増加
  5. 男性ホルモンの調節
  6. プロスタグランジン・エンドペルオキシド合成酵素-1の活性化

論文レベルで言われている薬理作用まで含めるとたくさんの効果があると考えられており、ミノキシジルにはかなりの可能性が秘められていると言ってもいいでしょう。

1. 血管拡張

ミノキシジルの最も重要な働きは、頭皮の血管を広げることです。血管が広がると血流が良くなり、髪の毛を作る毛根にしっかりと栄養が届くようになります。これが発毛促進の基本的な仕組みです。

2. 毛の成長期の延長

髪の毛には成長期→退行期→休止期というサイクルがあります。ミノキシジルは成長期を長く保つ働きがあるため、髪の毛がより長く太く育つ可能性があります。

3. 毛包の成長を刺激

薄毛では毛包が萎縮してしまうことが多いのですが、ミノキシジルは毛包の成長を刺激し、機能を向上させる効果が研究で報告されています。これにより、健康で太い髪の毛が生えやすくなります。

4. 成長因子の増加

ミノキシジルは、血管を新しく作ったり髪の成長を促進したりする成長因子という物質を増やす働きがあります。これらの成分が増えることで、より効果的な発毛が期待できます。

5. 男性ホルモンの調節

薄毛の原因となる男性ホルモン(DHT)の働きを穏やかに抑制する効果も報告されています。これは主要な作用ではありませんが、発毛効果をサポートする働きと考えられています。

6. プロスタグランジン・エンドペルオキシド合成酵素-1の活性化

専門的な話になりますが、髪の成長に重要な役割を果たす酵素の働きを高めることも確認されています。これも発毛効果に寄与していると考えられています。

内服薬と外用薬の違い

内服薬と外用薬の違い

ミノキシジルの内服薬と外用薬には、効果の現れ方や副作用のリスクに違いがあります。

内服薬は全身への作用が強く、外用薬よりも高い発毛効果が期待される一方で、副作用のリスクも高くなります。内服薬は血液を通じて全身に作用するため、頭髪以外の体毛にも影響し、多毛症(体の毛が濃くなる症状)が起こりやすくなります。

外用薬は頭皮に直接塗布するため、作用が局所的で副作用のリスクが比較的低いとされています。日本皮膚科学会のガイドラインでは、外用薬は推奨度A(行うよう強く勧める)とされており、女性の薄毛治療における第一選択となっています。

一方、内服薬は推奨度D(行うべきではない)とされており、安全性の観点から慎重な使用が求められています。

外用薬内服薬
承認状況厚生労働省認証済み未承認
ガイドライン推奨度A(強く勧める)D(行うべきではない)
作用範囲局所的全身
副作用リスク湿疹・動悸・頭痛・多毛症・むくみ多毛症・動悸・頭痛・むくみなど
多毛症のリスク少ないあり

女性のミノキシジル内服が「危険」といわれる理由

女性のミノキシジル内服について「危険」という表現が使われることがありますが、特に注意すべき4つのポイントをご説明します。

  1. 未承認薬であること
  2. 心血管系への副作用リスク
  3. 女性特有の副作用(多毛症・むくみ)
  4. 妊娠・授乳期への影響

これらのリスクは、決してミノキシジル内服薬が使用できないということを意味するものではありません。むしろ、医師による適切な管理のもとで使用することの重要性を示しています。

薄毛に悩む多くの女性にとって、ミノキシジルは自信や前向きな気持ちを取り戻す大きな助けとなる可能性があるのです。まずは、リスクを正しく理解しましょう。

1.未承認薬であること

ミノキシジル内服薬は、日本では薄毛治療薬として正式な承認を受けていません。未承認薬の使用は、医師の責任において行われる自由診療となるため、万が一副作用が生じた場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

ただし、未承認であることが直ちに危険を意味するわけではありません。海外では多くの国で使用されており、医師の適切な管理のもとで処方されています。重要なのは、未承認薬であることを理解し、十分な説明と同意のもとで治療を受けることです。

当院では、患者様に十分な説明を行い、リスクとベネフィットを理解していただいた上で、必要に応じて処方を行っています。

2.心血管系への副作用リスク

ミノキシジルはもともと高血圧治療薬として開発されたため、血圧や心拍数に影響を与える可能性があります。特に注意が必要な副作用として、低血圧、動悸、息切れ、胸痛などが報告されています。これらの症状は、血管拡張作用により血圧が下がりすぎることや、心臓への負担が増加することで起こります。

既に心血管系の疾患をお持ちの方や、血圧の薬を服用している方は特に注意が必要です。また、健康な方でも、定期的な血圧測定や心電図検査による監視が重要です。

当院では、治療開始前に詳細な問診と検査を行い、定期的なフォローアップにより安全性を確保しています。

万が一、心血管系の症状が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師にご相談ください。

3.女性特有の副作用(多毛症・むくみ)

ミノキシジル内服薬を使用する際の特有の副作用として、多毛症とむくみが挙げられます。

多毛症は、頭髪以外の体毛が濃くなる症状で、特に腕や脚、顔の産毛が目立つようになることがあります。これは、ミノキシジルの血管拡張作用が全身に及ぶためです。

むくみは、主に手足や顔に現れ、血管拡張により体液の循環が変化することで起こります。朝起きたときに顔がむくんでいる、夕方に足がむくむなどの症状が見られることがあります。

これらの副作用は用量に依存する傾向があるため、低用量から開始し、必要最小限の量で効果を得ることが重要です。

当院では、副作用の程度を定期的に確認し、必要に応じて用量調整を行っています。

4.妊娠・授乳期への影響

胎児への安全性が十分に確立されていないため、妊娠中や授乳中の女性は、ミノキシジル内服薬の使用はできません。

妊娠を希望される女性や、妊娠の可能性がある女性は、治療開始前に必ず医師にお伝えください。妊娠が判明した場合は、すぐに使用を中止してください。

妊娠・出産後の薄毛(産後脱毛症)は、多くの場合自然に回復するため、焦らずに適切な時期に治療を検討することが大切です。

しかし、中には産後数年以上も抜け毛が続く場合もあります。産後脱毛の期間は、個人差が大きいので、心配な場合は、医師に相談することをおすすめします。

当院では、ライフステージに応じた治療計画の提案を行っています。

ミノキシジル内服薬の発毛効果に関するエビデンス

海外で実施された複数の臨床研究では、ミノキシジル内服薬の有効性が報告されています。

2025年に発表された最新のメタアナリシス(複数の研究を統合分析した研究)では、27研究・2,933名を解析した結果、著明改善35%、改善47%、安定化26%という効果が示されました。※1

2021年の大規模多施設研究では、1,404名(女性943名)を対象とした安全性データも蓄積されています。※2

現在、さまざまな国で研究が進んでおり、女性のミノキシジル内服薬の有効性と安全性に関するエビデンスが蓄積されつつあります。

※1.Liu et al. “Efficacy and safety of oral minoxidil in the treatment of alopecia: a single-arm rate meta-analysis and systematic review” Frontiers in Pharmacology 2025

※2.Vañó-Galván et al. “Safety of low-dose oral minoxidil for hair loss: A multicenter study of 1404 patients” Journal of the American Academy of Dermatology 2021

ミノキシジルの服用方法

基本的な服用方法

  • 服用回数:1日1回
  • 服用タイミング:決まった時間(朝食後など)
  • 開始用量:2.5mg/日から開始
  • 水分摂取:十分な水と一緒に服用

ミノキシジルで改善が見込める症状

効果が期待できる症状

  • 女性型脱毛症(FAGA)
  • びまん性脱毛症
  • 産後脱毛症(医師と相談の上)

効果が限定的な症状

  • 円形脱毛症
  • 牽引性脱毛症
  • 瘢痕性脱毛症

効果が現れるまでの期間

ミノキシジル内服薬の効果が現れるまでの期間について、個人差は大きいですが、多くの研究で3〜6ヶ月程度で効果を実感する患者が多いと報告されています。毛髪の成長サイクル(ヘアサイクル)を考慮すると、新しい髪の毛が成長するには一定の時間が必要であり、即効性を期待することは現実的ではありません

治療開始から1〜2ヶ月の間に、初期脱毛と呼ばれる一時的な抜け毛の増加が見られることがあります。これは、休止期にあった古い髪の毛が新しい髪の毛に押し出されるために起こる現象で、治療が効果的に働いている証拠でもあります。

初期脱毛は通常2〜4週間程度で落ち着き、その後に新しい髪の毛の成長が始まります。

患者様には事前に初期脱毛についてご説明し、不安を感じることなく治療を継続していただけるよう配慮しています。

参照元: Jimenez-Cauhe J, et al. “Effectiveness and safety of low-dose oral minoxidil in male and female pattern hair loss” Journal of the American Academy of Dermatology 2021

女性がミノキシジル内服薬を安全に使用するための5つのポイント

ミノキシジル内服薬を使用する際は、リスクを理解した上で、以下の5つのポイントを守ることで、副作用を最小限に抑えながら効果的な治療を行うことができます。

  1. 医師による適応判断を受ける
  2. 低用量から開始し段階的に調整
  3. 個人輸入は絶対に避ける
  4. 副作用の早期発見と対処
  5. 併用禁忌薬の確認

1.医師による適応判断を受ける

ミノキシジル内服薬の使用を検討する前に、薄毛治療に精通した医師による詳細な診察を受けることが不可欠です。

まず、薄毛の原因を正確に診断し、ミノキシジル内服薬が適切な治療法であるかを判断する必要があります。女性の薄毛には様々な原因があり、ホルモンバランスの変化、栄養不足、ストレス、甲状腺疾患など、内服薬以外の治療が必要な場合もあります。

医師による適応判断では、以下の項目について詳細に評価します。

  • 薄毛の進行パターンと程度
  • 既往歴と現在服用中の薬剤
  • 心血管系の健康状態
  • 妊娠・授乳の可能性
  • 他の治療法の試行歴 など

当院では、初回カウンセリングに十分な時間をかけ、患者様の状況を詳しくお聞きした上で、最適な治療方針をご提案しています。

2.低用量から開始し段階的に調整

ミノキシジル内服薬の安全な使用において、低用量からの開始と段階的な用量調整が大切です。女性の場合、基本的には1日2.5mgから開始し、体重、年齢、基礎疾患などを考慮して内服量を調整します。

治療開始後は、医師が効果の程度を慎重に評価し、患者様の状態に応じて内服量の調整を行います。これにより、個人に最適な効果を得ることを目指します。用量調整の際は、効果の評価だけでなく副作用の有無も慎重に確認します。

多毛症やむくみなどの副作用は用量に依存する傾向があるため、できるだけ低用量で最大の効果を得ることが目標です。副作用が現れた場合は速やかに用量を減量し、安全性を最優先に治療を継続します。

3.個人輸入は絶対に避ける

ミノキシジル内服薬は、個人輸入での購入は絶対に避けてください。個人輸入の薬剤には偽物が混入している可能性があり、成分や濃度が不明確で危険です。また、副作用が生じた場合の救済制度も利用できません。

海外から購入した薬剤は、日本の医薬品医療機器等法に基づく安全性確認を受けていません。必ず医師の処方により、正規ルートで入手した薬剤を使用することが安全な治療の大前提です。費用を抑えたい気持ちは理解できますが、健康を危険にさらすリスクを考慮すると、医師による適切な管理が不可欠です。

参照元:厚生労働省「あやしいヤクブツ連絡ネット」

4.副作用の早期発見と対処

ミノキシジル内服薬の副作用は、早期発見と適切な対処により重篤化を防ぐことができます。患者様ご自身が副作用の症状を理解し、異常を感じた際にはすぐに医師に相談することが重要です。

【主な副作用の症状】

  • 循環器系:動悸、息切れ、血圧低下、むくみ、体重増加
  • 神経系:頭痛、めまい、立ちくらみ
  • その他:全身の毛が濃くなる多毛症、肝機能障害、初期脱毛

副作用への対処法は症状の程度により異なります。軽度の症状の場合は用量減量や一時的な休薬で改善することが多いです。重篤な症状の場合は即座に使用を中止し、医師に相談しましょう。

当院では、定期的な問診により、変化を見逃さないよう注意深く観察しています。

5.併用禁忌薬の確認

ミノキシジル内服薬は、他の薬剤との相互作用により予期しない副作用が生じる可能性があります。

特に注意が必要なのは、降圧剤、血管拡張剤、抗凝固剤などの心血管系に作用する薬剤です。これらの薬剤との併用により、血圧の過度な低下や出血リスクの増加などが起こる可能性があります。治療開始前には、現在服用中のすべての薬剤(処方薬、市販薬、サプリメント)について詳細に確認します。

また、治療中に新たに他の薬剤を服用する場合は、必ず事前に医師に相談してください。薬剤相互作用は予測が困難な場合があるため、専門的な判断が必要です。

まとめ

日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度Dとされているのは、安全性データの不足や副作用のリスクを考慮した慎重な判断によるものです。しかし、これは決して使用できないということを意味するものではなく、適切な管理のもとで安全に使用することが可能です。

重要なポイントは、リスクを正しく理解し、医師の指導のもとで慎重に治療を行うことです。ミノキシジル内服薬には確実に効果が期待できる一方で、心血管系への副作用、多毛症、むくみなどのリスクも存在します。これらのリスクは、低用量からの開始、定期的な健康チェック、副作用の早期発見と対処により、最小限に抑えることができます。

当院では、患者様の安全を最優先に考え、個々の状況に応じた最適な治療法をご提案しています。薄毛の悩みは一人で抱え込まず、医師に相談することで適切な解決策を見つけることができます。治療に関するご不安や疑問がございましたら、まずはカウンセリングでお気軽にご相談ください。あなたに最適な薄毛治療を一緒に見つけていきましょう。

参照元

【ご紹介した薬の注意事項】

ミノキシジル内服薬

未承認医薬品等ミノキシジル内服薬は、AGA治療目的での処方は国内で承認されていない未承認医薬品です。
入手経路等輸入代行業者を通じて海外から取り寄せます。詳細は各クリニックにお問い合わせください。
個人輸入やサイト経由での購入は健康リスクがあるとして注意喚起されています。
国内の承認医薬品等の有無国内ではAGA治療薬として承認されたミノキシジル内服薬は存在せず、外用薬のみ承認されています。
諸外国の安全等の情報および副作用アメリカ食品医薬品局(FDA)では高血圧治療薬として承認されているが、AGA治療目的では未承認。「血圧低下」「心拍数増加」「頭痛」「体重増加」などの副作用が報告されています。
医薬品副作用被害救済制度国内の医薬品副作用被害救済制度の対象外です。