女性の薄毛の仕組みとは?

女性の薄毛を理解するには、まず健康な髪の毛のサイクルを知ることが大切です。髪の毛は「成長期(2〜6年)」「退行期(2〜3週間)」「休止期(2〜3ヶ月)」という3つの周期で生え変わります。
健康な状態では、全体の約90%の髪が成長期にあり、1日に50〜100本程度の自然な抜け毛があります。しかし、何らかの原因でこのサイクルが乱れると、成長期が短くなり、細く弱々しい髪が増えたり、抜け毛が増加したりします。
女性の薄毛は男性とは異なり、頭頂部全体が徐々に薄くなる「びまん性脱毛症」のパターンが多いのが特徴です。
知っておきたい女性の薄毛の種類

女性の薄毛は症状や原因によって異なるタイプがあります。主な種類は以下の通りです。
薄毛の種類 | 特徴 | 主な原因 | 脱毛部位 | 備考 |
---|---|---|---|---|
びまん性脱毛症 | ・徐々に進行する ・全体的な毛髪密度の低下 | ・ホルモンバランスの変化 ・加齢 ・遺伝的要因 | 頭部全体 | ・最も一般的な女性の薄毛タイプ ・額の生え際は比較的保たれる |
FAGA(女性男性型脱毛症) | ・男性型脱毛症に似たパターン ・分け目の拡大 | ・女性ホルモン減少 ・男性ホルモンの相対的増加 ・遺伝 | 分け目、頭頂全体 | ・更年期以降・閉経後に多い ・進行性の薄毛 |
円形脱毛症 | ・突然の脱毛 ・コイン大の丸い脱毛斑 | ・自己免疫反応 ・強いストレス | ・頭部のどこにでも発生 ・複数箇所に発生することも | 自然に治癒するケースが多いが、複数/広範囲に及ぶ場合は治療が必要 |
休止期脱毛症 | ・急激な抜け毛 ・一時的な現象 | ・出産後・強いストレス ・急激なダイエット ・手術 | 全体的 | 3〜6ヶ月で自然回復することが多い |
牽引性脱毛症 | ・慢性的な引っ張り ・刺激による脱毛 | ・ポニーテール ・きつい編み込み ・常に同じ髪型 | 生え際、側頭部 | 原因となる髪型を避けることで改善する |
女性の薄毛の主な6つの原因

女性の薄毛は、ひとつの原因だけでなく複数の理由が重なって起こるケースが多くあります。

ここでは、私たちルートレディースAGAクリニックが多くの患者さまを診てきた経験から、特に多く見られる代表的な6つの原因についてわかりやすく解説します。
- 加齢による毛根機能の低下
- 更年期・出産などによるホルモンバランスの変化
- ストレスによる血行不良・自律神経の乱れ
- 偏食・過度なダイエットによる栄養不足
- 誤ったヘアケア・過度なスタイリング
- 遺伝的な要因・疾患や薬の副作用
1. 加齢による毛根機能の低下
年齢とともに身体が変化していくように、髪の生まれ変わりの力も少しずつ衰えていきます。
毛根の奥にある「毛母細胞」の働きが弱まると、新しい髪が育ちにくくなり、全体のボリュームも落ちてしまいます。
特に40代を過ぎたあたりから、「髪が細くなった」「立ち上がりがなくなった」と感じる方が増えてきます。これは自然な変化ではありますが、生活習慣の見直しや適切な治療を行うことで、進行を緩やかにすることは可能です。
2. 更年期や出産によるホルモンバランスの変化
髪の成長には、女性ホルモン(エストロゲン)が深く関わっています。
このホルモンは、髪の成長を助け、抜けにくくする働きがありますが、年齢や体調によって分泌が減少するタイミングがあります。
変化のタイミング | 原因 |
---|---|
更年期 | エストロゲン分泌量が急減することで、髪の成長サイクルが乱れ、頭頂部を中心に薄くなりやすい |
出産後の数ヶ月 | 妊娠中に増加していたエストロゲンが急減することによる一時的な脱毛(産後脱毛) |
ピル服用の開始・中止 | 人工的なホルモンバランスの変化による影響 |
こうした変化があると、ホルモンバランスの乱れが髪の成長サイクルに影響し、一時的に抜け毛が増えることがあります。
中でも更年期に起きる「FAGA(女性男性型脱毛症)」は、女性ホルモンが減少したことで男性ホルモンの影響が強くなる状態です。これは進行性の脱毛症であるため、早期の発見と対処がとても大切になります。
3. ストレスによる血行不良・自律神経の乱れ
現代社会を生きる女性の多くが抱える慢性的なストレスは、以下のような形で薄毛に影響します。
- 持続的なストレスによる自律神経の乱れ
- 頭皮の血行不良による栄養素の供給低下
- ストレスホルモン(コルチゾール)の増加による毛根への悪影響
- 睡眠障害やホルモンバランスの乱れ
ストレスは間接的な原因ではありますが、多くの女性の薄毛に関与している要素です。
4. 偏食やダイエットによる栄養不足
髪の毛は、「ケラチン」というたんぱく質からできています。
そのため、栄養バランスが偏ったり、急激なダイエットをしたりすると、髪に必要な材料が足りなくなることがあります。
健康な髪を維持するには、以下の栄養素が欠かせません。
- タンパク質: 髪の主成分の材料
- 鉄分: 酸素や栄養を毛母細胞に運ぶために必要
- 亜鉛: 髪の生成と修復に関わる
- ビタミンB群・E・D:代謝や血行、抗酸化に関与
特に鉄分や亜鉛は、不足が脱毛に関連することが医学的にも確認されています。
バランスの良い食事を心がけ、不足している栄養素があれば積極的に摂取しましょう。
5. 誤ったヘアケアや過度なスタイリング
日常のヘアケアやスタイリングも薄毛の原因になり得ます。
ヘアケア | 薄毛を招く理由 |
---|---|
強すぎるシャンプー | 必要な皮脂まで洗い流してしまう |
熱によるダメージ | ドライヤーの高温使用 |
いつも同じ場所を引っ張る髪型 | ポニーテールやお団子ヘアなど、常に同じ場所を引っ張る髪型 |
パーマやカラーリング | 薬剤の過度な使用による頭皮へのダメージ |
これらは髪や頭皮への「慢性的なダメージ」となり、将来的な薄毛のリスクを高めます。「美しく整えること」と「頭皮の健康を保つこと」のバランスが大切です。
6. 遺伝的な要因や病気、薬の副作用
最後に、体質や健康状態が影響するケースについても触れておきましょう。
体質・健康状態が影響するケース
- 遺伝的要因:両親や祖父母に薄毛の傾向がある場合
- 甲状腺疾患:甲状腺機能低下症や亢進症
- 自己免疫疾患:円形脱毛症など
- 貧血や鉄欠乏症
- 薬の副作用:抗がん剤、一部の降圧剤、抗うつ剤など
一見すると薄毛とは無関係に思える病気でも、ホルモンや栄養、血流など体内の状態が乱れることで、髪の健康に影響を及ぼすことがあります。
このような場合は、根本的な原因(基礎疾患や薬の影響)を医療的に見極め、必要に応じて連携した治療を進めることが大切です。
年代別に見る薄毛の原因と傾向

薄毛の原因は年齢によって変化します。ホルモンバランスや生活習慣の違いにより、どの年代にも特有のリスクがあります。

当院にご相談いただく患者さまの中でも、特に多いのが40代〜50代の女性です。
この世代はホルモンの変化が顕著になる時期で、髪のボリュームや質の変化を自覚しやすくなります。
ここでは、薄毛の悩みを感じ始めることが多い30代から、相談件数の多い40代・50代の傾向についてご紹介します。
30代:産後や生活の変化による影響
30代では、出産やライフスタイルの変化が大きなきっかけになります。
特に産後は、妊娠中に増加していた女性ホルモンが急激に減少し、一時的に抜け毛が増える「産後脱毛」を経験する方も少なくありません。通常は半年〜1年で自然に回復しますが、クリニックでの治療で早期改善が見込めます。
また、仕事や育児によるストレスや生活習慣の乱れも、髪の健康に影響を与えます。
40代:ホルモン変化とストレスの複合要因
40代はホルモンバランスの変化が始まる時期で、「プレ更年期」とも言われます。
エストロゲンの分泌量が徐々に減少し、薄毛が進行しやすい年代です。さらに、ストレスや睡眠不足、代謝の低下も重なり、髪の質や本数に影響を与えます。
この段階での変化に気づき、生活習慣やヘアケアの見直し、早期治療が将来の予防につながります。
50代以降:更年期・閉経後のFAGAリスク
50代を迎えると、女性ホルモンの急減によりFAGAの発症リスクが高まります。
頭頂部を中心とした抜け毛が目立ちやすくなり、髪の成長サイクルも短縮します。髪が細くなり、ボリュームダウンを感じやすいのがこの年代です。
この年代の薄毛は進行が早いため、セルフケアだけでなく、治療も視野に入れることが推奨されます。
あなたの薄毛の原因はどれ?簡単セルフチェックで今すぐ確認
以下の質問に「はい」「いいえ」でお答えいただき、「はい」と答えた数をチェックしてみましょう。
抜け毛の状態
- シャンプー時に抜け毛が増えたと感じる
- 枕や洋服に抜け毛が目立つようになった
見た目の変化
- 頭頂部の地肌が透けて見える
- 分け目が広くなった
- 髪全体のボリュームが減った
髪質の変化
- 髪が細くなった
- 髪にハリやコシがなくなった
- 髪が伸びるのが遅くなった
生活習慣
- ストレスを感じることが多い
- 睡眠不足や不規則な生活が続いている
- ダイエットや偏った食事が習慣化している
ホルモンや体調の変化
- 更年期症状(ほてり、不眠など)がある
- 出産後半年〜1年以内である
- 月経不順や周期の変化がある
その他の要因
- 家族に薄毛の人がいる
- 髪型がいつも同じで強く引っ張られている
- ヘアカラーやパーマを頻繁にしている
結果の目安
- 3項目以上該当:薄毛の初期サインの可能性があります。
- 6項目以上該当:生活改善やセルフケアに加えて、医師への相談がおすすめです。
原因別に実践できる薄毛対策5選

ここでは、薄毛の主な原因に対応した実践しやすい対策を5つご紹介します。
- 食生活の見直し
- 頭皮マッサージと血行促進ケア
- 正しいシャンプーとヘアケア習慣
- 睡眠・ストレスケアの生活改善
- 医療機関での治療
より確実な改善を目指したい方は、医療機関での相談がおすすめです。最近では、無料カウンセリングを実施しているクリニックも増えていますので、気軽に一歩踏み出してみてください。
1. 食生活の見直し
髪の主成分はたんぱく質です。髪を健やかに保つには、毎日の食事から必要な栄養をバランスよく摂ることが基本になります。
【特に意識したい栄養素と主な食材】
栄養素 | 主なはたらき | 多く含まれる食材 |
---|---|---|
タンパク質 | 髪の主成分ケラチンの材料 | 肉、魚、卵、大豆製品など |
鉄分 | 毛母細胞に酸素を届ける | レバー、赤身肉、ひじき、ほうれん草 |
亜鉛 | 細胞の成長と修復を助ける | 牡蠣、ナッツ、レバー |
ビタミンB群 | ケラチンの合成をサポート | レバー、卵、全粒穀物、緑黄色野菜 |
ビタミンE | 血行促進・抗酸化作用 | アボカド、ナッツ、植物油 |
大豆イソフラボン | 女性ホルモンのバランス調整 | 納豆・豆乳・味噌 |
特に鉄分や亜鉛は女性に不足しやすいため、意識的に摂ることをおすすめします。
2. 頭皮マッサージと血行促進ケア
毛根に栄養を届けるには、頭皮の血流を良くすることが大切です。マッサージは特別な器具がなくても、自宅で簡単に実践できます。
おすすめのヘアケア方法
- 指の腹で頭皮全体を優しく揉みほぐす(1回3〜5分)
- ブラッシング(血行促進と皮脂の分散に効果的)
- お風呂あがりの育毛剤や発毛剤の使用
定期的なケアを続けることで、頭皮の柔らかさや血色が改善し、頭皮の環境が整います。
3. 正しいシャンプーとヘアケア習慣
髪や頭皮に合わないシャンプーやケア方法は、かえって負担をかけてしまいます。薄毛対策では「洗いすぎず、守るケア」が基本です。
おすすめのヘアケア方法
- 洗浄力の強すぎないシャンプー(アミノ酸系など)を選ぶ
- 爪を立てず、指の腹でやさしく洗う
- 熱すぎるお湯を避ける(38℃前後が理想)
- すすぎは十分に行い、シャンプーを残さない
- タオルドライはゴシゴシこすらず、優しく押さえるように水分を取る
- ドライヤーは頭皮から15cm以上離し、熱を一点に当てない
特に注意したいのはシャンプーの洗浄力です。必要な皮脂まで洗い流してしまうと、かえって頭皮環境が悪化する可能性があります。
4. 睡眠・ストレスケアの生活改善
髪の毛は睡眠中に最も活発に成長すると言われています。また、慢性的なストレスはホルモンバランスや血流に影響を及ぼし、抜け毛を誘発します。
意識したい生活習慣
- 睡眠時間は7〜8時間を目安に
- 良質な睡眠にするために就寝前のスマホ・PC使用は控える
- ストレス発散法(散歩・趣味・軽い運動など)を見つける
- 深い呼吸や軽いストレッチで副交感神経を優位にする
生活の質を整えることは、髪だけでなく心身全体の健康にも良い影響を与えます。
5. 医療機関での治療
セルフケアは薄毛の予防や進行を遅らせる上で有効ですが、すでに薄毛が進行している場合、セルフケアだけで劇的な改善を目指すのは難しいのが現実です。
変化が見られない、あるいは抜け毛が明らかに増えていると感じる場合は、早めに専門的な治療を検討することをおすすめします。
医療機関で行える主な治療
- 内服薬(抜け毛抑制・発毛促進など)
- 外用薬(ミノキシジル配合育毛剤など)
- 育毛メソセラピー(成長因子や栄養成分の注入)
- 頭皮ケア機器(LEDや低出力レーザー)
- 自毛植毛
まとめ
女性の薄毛は、加齢、ホルモンバランスの変化、ストレス、栄養不足、誤ったヘアケア、遺伝的要因など、様々な原因が複合的に影響して起こります。
大切なのは、薄毛に気づいたら早めに対策を始めることです。初期段階では、食生活の見直しや正しいヘアケア、頭皮マッサージなどのセルフケアで改善できることも多くあります。
しかし、セルフケアで効果が見られない場合や、すでに薄毛が進行している場合は、専門医療機関での治療を検討することをおすすめします。
現在は女性専用の治療法も多く開発されており、個人の症状に合わせた効果的な治療が可能です。不安や疑問がある場合は、ぜひ一度専門クリニックにご相談ください。
私たちルートレディースAGAクリニックでは、女性の薄毛に特化した治療を提供しています。あなたの髪の悩みに寄り添い、最適な解決策を一緒に見つけてまいります。