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女性の薄毛治療が保険適用されない理由と費用の不安を解消する方法

女性の薄毛治療はなぜ保険適用されないのか?医師が解説

執筆者

清水弘太郎

院長

清水弘太郎

「神奈川・湘南・鎌倉・藤沢・横浜の女性薄毛(FAGA)はルートへ」

略歴

三重大学 医学部医学科卒業
桑名市総合医療センター 初期臨床研修 修了
三重大学病院 さいたま市立病院 形成外科 勤務
大手AGAクリニックA 勤務
大手AGAクリニックB 勤務

専門医・所属学会

日本毛髪科学協会 毛髪診断士
厚生労働省 麻酔科標榜医
日本形成外科学会 正会員

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女性の薄毛治療は原則として保険適用外となっています。

厚生労働省の健康保険法に基づく分類では、女性型脱毛症(FAGA)は美容目的の治療とされ、全額自己負担での治療が必要です。

しかし、円形脱毛症など特定の医学的条件では例外的に保険適用となる場合もあります。

本記事では、女性の薄毛治療の保険適用の可否と実際の費用について、ご紹介いたします。

女性の薄毛治療が保険適用されない3つの理由

女性の薄毛治療が保険適用外とされる理由は、日本の医療制度における明確な基準に基づいています。

厚生労働省の健康保険法では、医学的必要性を基準として治療の保険適用を判断しており、女性型脱毛症(FAGA)は現在、この基準を満たさないとされています。

理解していただきたいのは、これは治療の重要性を否定するものではなく、あくまで制度上の分類によるものです。

ここでは3つの理由に分けてお話いたします。

1. 美容目的の治療として分類されるため

厚生労働省の公式見解により、女性の薄毛治療は「美容・容貌を変えるための費用」として分類されています。これは、治療の主目的が審美的改善(見た目の美しさを向上させるため)にあると判断されているためです。

健康保険制度は基本的に、生命に関わる疾患や身体機能の回復を目的とした治療を対象としており、外見の改善を主目的とする治療は除外される仕組みになっています。

しかし、私たち医療従事者は、薄毛が患者様の心理的健康に与える影響の大きさを十分に理解しており、適切な治療により生活の質が大幅に改善されることを日々の診療で実感しています。

2. 生命に関わる疾患ではないと判断されるため

日本の医療保険制度では、緊急性や生命への影響度が保険適用の重要な判断基準となります。

女性型脱毛症は進行性の症状ではありますが、直接的に生命を脅かすものではなく、基本的な身体機能を損なうものでもないため、医学的必要性が認められていないのが現状です。政府の医療政策では、限られた公的医療保険資源を生命に関わる疾患、機能障害、感染症予防、必須医療サービスに優先配分する方針を採用しています。

そのため、高額で長期間を要する薄毛治療は、公衆衛生への影響が限定的と判断されているのです。

3. 治療効果に個人差があり標準化が困難なため

薄毛治療の効果は患者様によって大きく異なり、同じ治療法でも反応性に個人差があることが知られています。

これは遺伝的要因、ホルモンバランス、生活習慣、ストレスレベルなど、複数の要因が複雑に関与するためです。

保険制度では、治療効果の予測可能性と統一された治療手順が求められますが、薄毛治療においてはこれらの条件を満たすことが困難とされています。

日本皮膚科学会が策定した診療ガイドラインでも、「医学的根拠に基づく記載であり、保険診療の手引き書ではない」と明記されており、医学的意義と保険適用が分離されていることが分かります。

例外的に保険適用となる女性の薄毛ケース

女性の薄毛治療は原則として保険適用外ですが、医学的な疾患が原因の脱毛症については例外的に保険適用される場合があります。

これらのケースでは、薄毛そのものではなく、根本的な疾患の治療として保険が適用されるのです。患者様には、ご自身の症状がどのカテゴリーに該当するかを正確に把握していただくことが重要です。

円形脱毛症の場合

円形脱毛症は自己免疫疾患として分類され、いくつかの治療法が保険適用されます。

円形脱毛症の診断を受けた場合、まず皮膚科での保険診療を受けることをおすすめします。

円形脱毛症の治療一例

治療法保険適用内容費用(3割負担の場合)
ステロイド外用薬炎症を抑制する軟膏やローション月額約500~1,500円
エキシマライト療法紫外線を照射する光線療法(2020年4月から保険適用)1回約1,020円
JAK阻害薬(内服)オルミエント(2022年6月承認)リットフーロ(2023年9月承認)月額約15,000~30,000円
ミノキシジル外用薬×発毛促進効果のある外用薬月額約5,000~8,000円(自費)
HARG療法×成長因子を注入する治療1回約80,000~150,000円(自費)
メソセラピー×薬剤を直接注入する治療1回約20,000~50,000円(自費)

治療法は患者様の症状の程度や範囲に応じて医師が適切に選択いたします。保険適用外の治療は、保険診療で効果が不十分な場合の選択肢として検討されます。

他の疾患が原因の脱毛症の場合

薄毛や脱毛が他の病気によって引き起こされている場合は、根本的な病気の治療として保険適用されます。以下のような疾患が原因の脱毛症では、保険診療を受けることができます。

保険適用となる脱毛症の原因疾患

原因疾患具体例必要な検査・診断治療内容
甲状腺の病気・甲状腺機能亢進症
・甲状腺機能低下症
・橋本病
血液検査でホルモン値を確認(TSH、T3、T4)甲状腺ホルモンの調整治療脱毛は甲状腺治療により改善
皮膚の炎症脂漏性皮膚炎による脱毛皮膚科医による診察・診断・抗真菌薬
・抗炎症薬
・医療用シャンプー
精神的な要因抜毛症(自分で毛を抜いてしまう病気)精神科・心療内科での診断・認知行動療法
・必要に応じて薬物療法

重要なポイント

これらの疾患による脱毛では、脱毛そのものの治療ではなく、原因となる病気の治療が保険適用されます。そのため、まず適切な診療科で原因疾患の診断を受けることが大切です。

  • 甲状腺の病気:内科や内分泌科での血液検査
  • 皮膚の炎症:皮膚科での診察
  • 精神的な要因:精神科や心療内科での相談

皮膚科での基本的な検査や診断

薄毛の原因を特定するための基本的な検査や診断は保険適用となります。

これには、血液検査(甲状腺機能、鉄欠乏性貧血、ホルモン値など)、皮膚の視診・触診、毛髪の顕微鏡検査などが含まれます。ただし、検査の結果、女性型脱毛症(FAGA)と診断された場合、その後の治療は自費診療となります。

重要なのは、まず適切な診断を受けることで、保険適用される疾患が隠れていないかを確認することです。症状に不安を感じた場合は、まず皮膚科での診察を受けることをお勧めします。

女性の薄毛治療にかかる実際の費用

女性の薄毛治療を検討される際、治療費用への不安が最も大きな関心事の一つかと思います。ご検討の参考になるよう、治療法別の費用相場をお伝えいたします。

内服薬治療の費用相場

薬剤の種類具体例月額費用(約)年間費用(約)特徴
予防治療・スピロノラクトン
パントガール
3,000~8,000円36,000~96,000円・抜け毛予防がメイン
・副作用が比較的少ない
発毛促進ミノキシジル8,000~15,000円96,000~180,000円・発毛効果を重視
・効果実感まで最低6ヶ月

治療効果を実感するには最低6ヶ月の継続が必要とされており、年間の総額を事前にご確認いただくことをお勧めします。

外用薬治療の費用相場

薬剤の種類内容月額費用(約)年間費用(約)入手方法
医療機関処方ミノキシジル外用薬(女性推奨1〜2%濃度)10,000~15,000円120,000~180,000円・クリニックで処方
・高濃度で効果的
市販薬リアップシリーズなど7,000~10,000円84,000~120,000円・薬局で購入可能
・薬剤師の説明が必要
内服薬との併用内服薬+外用薬約20,000円約240,000円最も一般的な治療法

市販薬もありますが、症状に応じた適切な薬剤の選択や濃度の調整のため、まず医療機関での診察をお受けになることをおすすめします。

注入治療・メソセラピーの費用相場

治療法内容1回の費用(約)総額費用(約)治療回数
メソセラピー薬剤を頭皮に直接注入15,000~100,000円500,000円以上・通常6~12回
・月1回実施
HARG療法毛髪再生医療60,000〜150,000円36〜135万円・6~9回が標準
・月1回実施

これらの治療はより積極的な発毛効果を期待できますが、内服薬や外用薬と比べて費用負担が大きくなります。

患者様の症状やご予算に合わせて、無理のない治療計画を一緒に考えさせていただきます。費用についてご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

年間治療費のシミュレーション

症状レベル治療内容年間費用(約)月額費用(約)治療の特徴
軽度の薄毛(予防中心)内服薬のみ80,000~120,000円7,000~10,000円・抜け毛予防がメイン
・治療開始しやすい価格帯
中等度の薄毛(積極治療)内服薬+外用薬204,000〜444,000円17,000~37,000円・一般的な治療法
・バランスの良い効果
重度の薄毛(集中治療)内服薬+外用薬+注入治療504,000〜1,620,000円42,000〜135,000円・より高い効果を期待
・経済的負担は大きい

初回のカウンセリングで詳細な治療計画と費用をお伝えし、段階的な治療アプローチにより費用を調整する方法もご提案しています。

薄毛治療は何より継続が大事です。無理のない範囲で続けられる治療計画を一緒に考えましょう。

医師が教える治療費の負担を軽減する4つの方法

薄毛治療は時間をかけて向き合う必要がありますが、適切な治療選択により経済的負担を軽減しながら効果的な治療を受けることができます。

  1. 早期治療で長期的な費用を抑える
  2. 月額定額プランを活用する
  3. 段階的な治療アプローチを検討する
  4. 複数のクリニックで費用を比較検討する

4つの実践的な費用軽減策をお伝えします。

1. 早期治療で長期的な費用を抑える

薄毛の進行は早期発見・早期治療が最も費用対効果が高い治療法です。

初期段階では比較的安価な内服薬や外用薬で十分な効果が期待でき、月額1万円前後で治療を開始できます

進行してから高額な注入治療や植毛を検討するよりも、総額では大幅に費用を抑えることができます。また、早期治療により毛髪の回復も早く、心理的ストレスも軽減されるため、生活の質の向上にもつながります。

「少し気になる」程度の段階でも、まずは専門医に相談することをおすすめします。

2. 月額定額プランを活用する

多くのクリニックでは月額定額プランを提供しており、「毎月いくらになるかわからない」という不安がないのが大きなメリットです。

例えば、月額15,000〜25,000円で内服薬、外用薬、定期診察がセットになったプランなどがあります。

定額プランでは毎月の支出が一定になるため家計管理がしやすく、治療の中断リスクを減らすことができ、結果的により良い治療効果を得ることができます。

3. 段階的な治療アプローチを検討する

段階的治療アプローチにより、費用を分散させながら効果的な治療を行うことができます。

まず内服薬から開始し、効果を見ながら外用薬を追加、必要に応じて注入治療を検討するという方法です。この方法により、不必要な高額治療を避けながら、確実に効果を積み上げることができます。

また、治療効果を定期的に評価し、治療方針を柔軟に調整することで、費用対効果を最適化します。

4. 複数のクリニックで治療プランを比較検討する

薄毛治療は自由診療のため、クリニック間で費用に大きな差があります。同じ治療法でも、クリニックによっては2〜3倍の費用差が生じることもあります。

また、残念ながら初回から高額なプランばかりをすすめてくるクリニックも存在します。これは患者様の症状よりも売上を優先している可能性があるため注意が必要です。「今日だけ特別価格」といったその場での契約を迫る営業手法にも十分お気をつけください。

治療は長期間にわたって続けるものですから、複数のクリニックでカウンセリングを受け、治療方針や費用をじっくりと比較検討することをおすすめします。ご自身が納得された上で治療をスタートしていただくことが、何より大切です。

よくある質問と医師からの回答

皮膚科で受ければ保険診療になりますか?

女性の薄毛治療は原則として保険適用外です

皮膚科でも自由診療扱いとなりますが、円形脱毛症など特定の疾患がある場合は保険適用の可能性があります。受診時に確認しましょう。

医療費控除の対象になりますか?

原則として対象外です。

国税庁は女性薄毛治療を「美容・審美目的」として分類しており、原則として医療費控除の対象外です。

ただし、円形脱毛症や甲状腺機能異常による脱毛など、医学的疾患が原因の場合は控除対象となる可能性があります。最寄りの税務署にお問い合わせください。

治療をやめるとどうなりますか?

治療を中断すると、薄毛が再び進行する可能性があります。

これは、薄毛の進行を引き起こしている体質やホルモンバランスの傾向が変わらないためです。そのため、ある程度の期間は継続して治療を行う必要があります。ただし、治療を続けることで薄毛の進行をコントロールできる状態になれば、医師の判断のもとで治療の間隔をあけたり、段階的に減薬することも可能です。

どのくらいの期間で効果を実感できますか?

一般的に3〜6ヶ月で初期効果を実感します。

内服薬治療では1〜3ヶ月で抜け毛の減少、3〜6ヶ月で新しい毛髪の成長を確認できることが多いです。ただし、毛髪の成長サイクルは長期間であるため、最大効果を得るには継続的な治療が必要です。

更年期障害による抜け毛も保険適用外ですか?

はい、保険適用外です。更年期障害による抜け毛は美容・審美上の問題として扱われ、保険適用外です。ホルモン補充療法は保険適用されますが、脱毛改善を主目的とした処方は保険適用外となります。

【参照元】