女性のこめかみの薄毛には、牽引性脱毛症、FAGA、栄養不足、ストレス、頭皮環境の悪化など複数の原因があります。
この記事では、こめかみの薄毛の原因を特定する方法と、原因別の具体的な改善策を解説します。早期に適切な対策を始めることで、薄毛の進行を止めることが可能です。
女性のこめかみが薄くなる5つの原因

牽引性脱毛症|髪を引っ張る髪型が原因
ポニーテールやお団子ヘア、編み込みなど、髪を強く引っ張る髪型を続けていると、こめかみの毛根に負担がかかり脱毛が起こることがあります。
仕事や育児で毎日同じ髪型をしている方に多く見られる症状です。「気づいたらこめかみが薄くなっていた」という声をよく耳にします。
ただし、牽引性脱毛症は早めに対処すれば改善が期待できます。髪型を変えて毛根への負担を減らすことで、数ヶ月後には回復していくケースが多く見られます。
FAGA(女性男性型脱毛症)|ホルモンバランスの変化
女性ホルモンが減少すると、相対的に男性ホルモンの影響が強くなり、こめかみや生え際の薄毛が目立つよことがあります。特に40代以降の更年期に入ると、この変化が顕著になります。
「年齢のせいだから仕方ない」と思われるかもしれません。しかし、FAGAは適切な治療により進行を抑え、改善することができます。
男性のAGAとは異なり、生え際全体がゆっくりと後退していくのが特徴ですが、早めに治療を始めることで、より良い効果が期待できます。
栄養不足|ダイエットや偏った食生活
髪はタンパク質から作られています。過度なダイエットや偏った食生活が続くと、髪の成長に必要な栄養が不足し、髪が細く弱くなります。
特に鉄分、亜鉛、ビタミンB群が不足すると、薄毛のリスクが高まります。「体重は減ったけれど髪も薄くなった」というのは、決して珍しいことではありません。
ストレス|自律神経と血行不良の関係
慢性的なストレスは自律神経のバランスを崩し、頭皮の血行不良を引き起こします。血流が悪くなると毛根に栄養が届きにくくなり、髪の成長が妨げられます。
また、ストレスホルモンの分泌増加により、髪の成長サイクルが短縮され、休止期に入る髪が増えることで薄毛が進行します。仕事や人間関係のストレスに加え、睡眠不足もストレス要因となります。
頭皮環境の悪化|間違ったヘアケアの影響
洗浄力の強すぎるシャンプーの使用、頻繁なカラーリングやパーマ、ドライヤーの熱による頭皮ダメージなどが頭皮環境を悪化させます。頭皮が乾燥したり炎症を起こしたりすると、毛根が弱り髪が育ちにくくなります。
また、シャンプーのすすぎ残しや整髪料の蓄積も毛穴を詰まらせ、健康な髪の成長を妨げる原因となります。
こめかみの薄毛をセルフチェックする方法

こめかみの薄毛が進行しているかどうかは、以下の3つのポイントで確認できます。
- 生え際の後退(以前と比べて後退していないか)
- 抜け毛の本数と髪質の変化(細く短い抜け毛が増えていないか)
- 頭皮の状態(色や硬さに異常がないか)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
生え際の後退を確認する
鏡の前で正面と側面から生え際を確認してみましょう。以前の写真と比べると、変化がわかりやすくなります。
こめかみ部分が三角形に後退している、生え際全体が上がっているなどの変化が見られる場合は注意が必要です。
スマートフォンで定期的に同じ角度から撮影しておくと、薄毛の進行を客観的に把握できます。
抜け毛の本数と髪質の変化を見る
1日50〜100本程度の抜け毛は正常範囲です。それ以上抜けている場合や、抜け毛が細く短い場合は薄毛が進行している可能性があります。
洗髪時やブラッシング時の抜け毛の量を確認してみましょう。毛根に白い膨らみがあれば正常ですが、毛根が細く弱々しい場合は要注意です。
また、髪全体のボリュームが減った、髪が細くなったと感じる場合も、薄毛のサインかもしれません。
頭皮の状態を確認する
健康な頭皮は青白い色をしています。赤みがある、茶色っぽい、黄色っぽい場合は、頭皮環境が悪化している可能性があります。
頭皮を指で触ってみて、硬い、動きにくいと感じる場合は血行不良のサインです。かゆみや炎症がある場合も、早めの対処が必要です。
気になる症状がある場合は、セルフケアだけでなく専門医に相談することをおすすめします。
自宅でできるこめかみの薄毛対策

こめかみの薄毛を改善するために、自宅で今日から始められる対策は以下の6つです。
- 髪型を変えて牽引を避ける
- 頭皮マッサージで血行を促進する
- 栄養バランスの良い食事を心がける
- 質の良い睡眠をとる
- ストレスケアを実践する
それぞれ詳しく解説します。
1.髪型を変えて牽引を避ける
髪を強く引っ張る髪型を続けている場合は、まず髪型を変えることが最優先です。
仕事中にどうしても髪をまとめる必要がある場合は、結ぶ位置を毎日変える、休日は髪を下ろすなどの工夫をしましょう。
ヘアゴムは細いゴムではなく、太めのシュシュやバナナクリップを使うと頭皮への負担が軽減されます。
2.頭皮マッサージで血行を促進する
頭皮の血行が良くなると、毛根に栄養が届きやすくなり、髪の成長が促進されます。
シャンプー時や入浴後に、指の腹を使って頭皮全体を優しく揉みほぐしましょう。特にこめかみから頭頂部にかけて、円を描くようにマッサージすると効果的です。
1日5分程度で構いません。力を入れすぎず、気持ち良いと感じる強さで続けることが大切です。育毛剤を使用する場合は、塗布後にマッサージすると成分の浸透が高まります。
3.栄養バランスの良い食事を心がける
髪の主成分はタンパク質です。肉、魚、卵、大豆製品などを毎日の食事に取り入れましょう。
さらに、亜鉛(牡蠣、レバー、ナッツ類)、鉄分(赤身肉、ほうれん草、ひじき)、ビタミンB群(豚肉、玄米、納豆)も髪の健康に欠かせません。
忙しくてバランスの良い食事が難しい場合は、サプリメントを活用するのも一つの方法です。ただし、サプリメントはあくまで補助と考え、基本は食事から栄養を摂ることを心がけましょう。
4.質の良い睡眠をとる
髪の成長ホルモンは、睡眠中に多く分泌されます。
睡眠時間は最低でも6時間、できれば7〜8時間確保しましょう。
寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控える、寝室を暗くする、就寝前にリラックスできる時間を作るなど、睡眠の質を高める工夫も効果的です。
5.ストレスケアを実践する
ストレスは薄毛の大きな原因の一つです。完全にストレスをなくすことは難しいですが、上手に発散する方法を見つけることが大切です。
軽い運動やヨガ、散歩などの有酸素運動は、血行促進とストレス解消の両方に効果があります。趣味の時間を持つ、友人と話す、入浴でリラックスするなど、自分に合った方法を取り入れましょう。
深呼吸や瞑想などのマインドフルネスも、手軽に始められるストレスケアとしておすすめです。
医療機関でのこめかみ薄毛治療
セルフケアで改善が見られない場合は、医療機関での専門的な治療が有効です。主な治療法は以下の3つです。
- 外用薬治療(ミノキシジル)
- 内服薬治療(パントガール・スピロノラクトン)
- 注入治療(メソセラピー・HARG療法)
それぞれの治療法について詳しく解説します。
※これらの治療はすべて自由診療となり、保険適用外です。
※授乳中には服用できない薬剤もありますので、診察時に必ず申告ください。
外用薬治療(ミノキシジル)

ミノキシジルは、頭皮の血流を改善し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促す外用薬です。日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されている治療法です。
女性の場合は1〜2%濃度のミノキシジルを使用します。1日2回、気になる部分に塗布することで、3〜6ヶ月後から効果が現れ始めます。
副作用として、使用初期に一時的な抜け毛が増えることがありますが、これは新しい髪が生えるための準備段階です。継続することで徐々に改善していきます。
内服薬治療(パントガール・スピロノラクトン)

パントガールは、髪の成長に必要なアミノ酸、ビタミンB群、ケラチンなどを配合した女性専用の内服薬です。びまん性脱毛症や産後の抜け毛に効果があります。
1日3回服用し、3ヶ月程度で効果が現れ始めます。副作用が少なく、安全性の高い治療法です。
スピロノラクトンは、男性ホルモンの働きを抑える作用があり、FAGAに効果的です。ホルモンバランスを整えることで、薄毛の進行を抑えます。
注入治療(メソセラピー・HARG療法)

メソセラピーは、頭皮に直接成長因子や栄養成分を注入する治療法です。内服薬や外用薬よりも早く効果が現れやすく、より確実な改善を目指す方に適しています。
HARG療法は、幹細胞から抽出した成長因子を注入する再生医療です。毛母細胞を活性化させ、発毛を促進します。
注入治療は月1回程度のペースで、6回を1クールとして行います。
こめかみの薄毛に関するよくある質問
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こめかみの薄毛は遺伝しますか?
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両親や祖父母に薄毛の方がいる場合、発症リスクが高まる可能性があります。
ただし、遺伝だけで薄毛が決まるわけではありません。生活習慣やストレス、ヘアケア方法などの環境要因も大きく影響します。
遺伝的な要因があっても、早めに対策を始めることで薄毛の進行を遅らせたり、改善したりすることは十分可能です。
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何歳くらいからこめかみの薄毛が始まりますか?
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牽引性脱毛症は年齢に関係なく、髪を引っ張る髪型を続けることで発症します。20代や30代でも注意が必要です。
FAGAは40代以降の更年期に入ると発症しやすくなりますが、30代後半から症状が現れることもあります。
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こめかみの薄毛は完全に元に戻りますか?
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牽引性脱毛症の場合、毛根がまだ生きていれば髪型を変えることで回復が期待できます。早期発見・早期対処が重要です。
毛根が完全に死んでしまった場合は、発毛は困難です。だからこそ、気になったタイミングで早めに専門医に相談することをおすすめします。
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市販の育毛剤でも効果はありますか?
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育毛剤には頭皮環境を整える効果がありますが、すでに薄毛を発症している場合は改善が難しい可能性があります。
より確実な効果を求める場合は、医療機関での治療をおすすめします。
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妊娠中・授乳中でも治療できますか?
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妊娠中や授乳中は、ミノキシジルやパントガール、スピロノラクトンなどの薬剤の使用は推奨されていません。
この期間は、髪型の見直し、頭皮マッサージ、栄養バランスの良い食事、十分な睡眠など、安全なセルフケアを中心に行いましょう。
授乳が終わってから本格的な治療を検討することをおすすめします。
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治療を始めるタイミングはいつが良いですか?
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薄毛治療は早ければ早いほど効果が期待できます。「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、気になったタイミングで相談することが大切です。
毛根が生きているうちに治療を始めれば、回復の可能性が高まります。完全に毛根が死んでしまうと、発毛は困難になります。
多くのクリニックでは無料カウンセリングを実施しています。まずはクリニックに相談し、自分に合った治療法を見つけることから始めましょう。
まとめ|こめかみの薄毛は早めの対策が重要
女性のこめかみの薄毛には、牽引性脱毛症、FAGA、栄養不足、ストレス、頭皮環境の悪化など、さまざまな原因があります。
原因を正しく見極め、それぞれに適した対策を行うことで改善が期待できます。髪型の見直しや頭皮マッサージ、栄養バランスの良い食事など、今日から始められるセルフケアもあります。
ただし、セルフケアで改善が見られない場合や、薄毛が急速に進行している場合は、早めに医療機関に相談することが大切です。
専門医による診断と適切な治療により、こめかみの薄毛の進行を止め、健やかな髪を取り戻しましょう。当院では無料カウンセリングを実施しています。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
